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その後、ファルさん付き添いの元で病院へ行った。下された診断は過労と睡眠不足による疲れだった。まあそうだろうなと納得する。自分の身体の事は自分が一番良く分かっているものだ。
病院で点滴を打って貰った後は、またオフィスへと戻る事になった。一人きりの自宅よりも、誰かしら人の居るオフィスの方が安心だ。動けない俺が居ても邪魔かも知れないが、ファルさんも一人の部屋に戻るよりはオフィスの方が何かあった時にいいだろうと提言してくれた。
オフィスに戻ると、二時間前には無かった顔が幾つかあった。その内の一つが河村さんだ。ソファに掛けて膝の上に乗せたノートPCを操作していた彼は、俺たちが戻った事に気付き、PCを傍らに置いて立ち上がった。
「伊沢、倒れたって? どう、具合」
「面目ない。大分落ち着きました」
目の前までやってきた河村さんは、俺の顔を見てあからさまに眉を顰めた。
「お前、凄いクマ出来てるじゃん。ちゃんと寝てるか?」
「それを河村さんに言われるとは……」
正直寝不足っす――と苦笑交じりに続けると、
「だろうなぁ」
と、しみじみした声が返ってきた。木の芽時の河村さんは割と不調な事が多いのだが、そんな河村さんに心配されるとなると相当だ。
「睡眠を疎かにするなんて、伊沢にしては珍しいよね。昔から昼夜ズレ込んだとしても、睡眠時間だけは確保するタイプなのに」
まあ最近特に忙しいから仕方ないのか――と呟く河村さんに返す言葉も無い。
今日は土曜日。いつもならば会議の日は土日に充てないが、今週は俺が忙しく都合をつけられなかった為、土曜日に打ち合わせをする事になっていた。
俺の都合で土曜日になったのに、肝心の俺が会議どころではない状態で、あまりにも申し訳ない。敷いて貰った布団に横になりつつ、少し離れた所で卓についた面々の顔を見上げる。
「本当にすみません」
「気にするなって。仕方ないでしょ」
福良さんが苦笑しながらヒラヒラと片手を振った。体調不良が仕方ないのは確かなのだが、今回の場合は俺の不摂生の所為なのだから何とも言い難い。
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奈都(プロフ) - Komiさん» コメントありがとうございます。トロイメライが出来上がってる二人の話なので、順番が逆になってしまうのですが、あの関係になるまでにこんな流れがあったんだな、という感じでお読み頂ければ幸いです。出来るだけマメに更新していくので是非今後もお願いします…! (2019年9月14日 16時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
Komi(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!トロイメライの頃からizwさんの2人が大好きで、始まりのストーリーが読めるのがとても嬉しいです^^毎日更新を楽しみに生活しています笑これからも応援しています!! (2019年9月14日 5時) (レス) id: 31bd00c83a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:奈都 | 作成日時:2019年8月11日 10時