百一片 ページ10
「まーピンとはこねぇかもしんねーが...オレ達は鈴と仲が良かったんだぜ」
「そうなんだ...オレ鈴さんのことまだ全然知らなくて...」
「ハハッそりゃしょうがねぇよ。10年前、鈴はただの兎だったからな。...もう5年前になんのか。一緒に戦ったときの鈴の姿は...今でも鮮明に思い出す」
顎に触れながら山本は目を伏せる。それは懐かしむようであり、悔やむようであり。
(...山本？)
ツナは妙な様子に首を傾げる。
だがすぐに山本は10年前と変わらない笑顔を見せた。
「...感傷に浸んのはあとだな！5年前の守護者会合以来、鈴とヒバリには会ってねぇ。だが丁度2年前、イタリアで新興マフィアを一網打尽にした奴がいた。唯一の目撃者が言うに、そいつは白。白かった」
「それがあの兎か？」
獄寺の問いに山本は首肯を返す。
「小さな鈴の音を合図に標的が次々と音もなく倒れる様から、
「マフィアを一網打尽って！そんな怖い子なのー！？」
ミルフィオーレの台頭に乗じて発生したとされるアペニン山脈北部のマフィア達。
これを機にボンゴレを排除しようとしたようだが、突如として襲来した静かの鐘によりそれは叶わぬ夢となった。
山本が言った通りその静かの鐘が鈴ならば頼もしい助っ人になる。
「残念なことに最近静かの鐘の情報はない。丁度ミルフィオーレからの圧力が強くなってきた頃だ。ヒバリと一緒に他国に飛んで大人しくしてんだろうな」
「他国...じゃあヒバリさん今どこに？」
「それがよくわかんねーんだ」
雲雀と鈴。孤高の浮雲と静寂の淡雪。その跡を追うのは容易なことではない。
「オレもここをしばらく離れてて、今守護者の皆がどこにいるのかわからねぇんだ。ヒバリの手がかりはこいつだけだ」
山本から差し出された写真。そこには黄色いふわふわの体毛が写っている。
「なぁ！？これってバーズの鳥じゃなかった！？」
「今はヒバリが飼っていてヒバードっていうらしいぞ」
(誰が名前つけたのー！？)
分かりやすく、安直な名前。雲雀本人に聞かれたらまずいんじゃ！？とツナは苦く笑う。
「ずっと前にハルがヒバリの肩と鈴の肩を行ったり来たりするのを見かけたらしくてな」
(確かに懐いてた...校歌も歌ってやがったし...)
「手がかり、それ、だけですか...？」
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作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2023年9月1日 21時
