九十九片 ページ8
目を細め、友好的に笑う白蘭。
だがレオナルドはなおも恐れ多いのか躊躇っている。
「は、しかし...」
「うちはやることさえやってくれれば幸せになれるの」
友好の裏に少しの威圧を含ませつつ、白蘭はミルフィオーレファミリーの方針を告げた。
「さっそく頼まれてくれる？レオ君」
「！...は、はい！」
レオナルドは改めて姿勢を正し、白蘭の言葉を賜る。
「日本に行った正チャンにさ、花を届けてほしいんだ」
遠い日本の地。そこへ向かった親友に思いを馳せ、白蘭は顔を伏せる。
「花...でありますか？」
「うん。白いアネモネを山のようにね」
再び顔を上げた白蘭は、やはり、腹に一物を抱えた微笑みを見せた。
視点無し
並盛の住宅街。その地中深く。
ラル・ミルチの報告を受け、リボーンは小さく息をつく。
「そーか...本国のボンゴレはそこまでダメージをうけてんだな」
二日前、既に夜も明け三日前となる。
イタリアにあるボンゴレ本部は壊滅的な被害を受けた。
生存者は0名。9代目とその守護者を含め、行方は不明だ。
「...あぁ」
「お前の仕事はここの状況を報告することだったんだろ？だが門外顧問との連絡は断ち切られてる。これからどーすんだ？」
リボーンは冷静に現状を整理しながら、ラルに方針を尋ねた。
この状況、取れる選択肢は限りある。
まず一つは、ツナ達と共に日本に残り、対抗しうる力を付けてから、身近にある日本のミルフィオーレ、メローネ基地を攻略する。
次に、門外顧問含めボンゴレ関連組織の情報を集め、ボンゴレ全体での情報共有を図る。
そしてもう一つは。
「...白蘭を獲る。単独でな」
あまりにも無謀な覚悟。
静かに話を聞いていた山本も、この蛮勇には眉をひそめる。
「無茶だぞ。外にはオレ達に有害なノントゥリニセッテが放射されてんだ。呪いで死ぬぞ」
この基地は外界への通路に必ずノントゥリニセッテを遮断するバリアが張ってある。
ジャンニーニが作成したそのバリアがなければ、トゥリニセッテの一角を司るもの...アルコバレーノはその生命の維持すら難しい。
「覚悟はできてる。どうせオレの命は長くない。なりそこないにしてもノントゥリニセッテを浴びすぎた」
「今はツナ達におまえの力が必要なんだ。考え直せねーのか？」
「おまえと山本がいれば充分だぜ。断る」
これ以上話を聞く気はないと足早に歩いていくラル。
リボーンには彼女がここまで死に急ぐ理由に、心当たりがあった。
「コロネロの敵を討つ気だな」
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作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2023年9月1日 21時
