【R E B O R N !】雪の守護者は白兎『 Ⅲ 』 (ページ21)

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百十二片ページ21

「やはり雲雀恭弥はボンゴレ側の人間だったというわけだな」

彼は木陰に投げ捨てられた銀髪と山本武を顎で指し示す。
息はしているが先ほどより浅くなっていた。
このまま処置せずに時間が経てば、いずれこの並盛神社で人が死ぬ。

「いざ仲間が殺られるとなれば、黙って見てはいられない」

「それは違うよ」

小さな匣を掴む手に力が入る。
彼の言うことは徹頭徹尾でたらめだ。
僕の情報の片鱗を自分勝手につなぎ合わせて、少しでも僕の感情を揺らそうとする。
その傲慢さは僕の神経を逆撫でる。
声色は全く別物だが、僕の嫌いな男を思い出させるほどに。

そこに倒れているのが彼らだろうが、知ったことではない。
彼が言うファミリーなんてくだらないものが理由ではない。
僕はただ、並盛を汚されるのが嫌だ。
僕はただ、僕以外の者が、僕の所有物に爪痕を残すことが許せない。

「僕が怒っているのは、並盛の風紀が乱されていることだ」

怒りに呼応し右手に嵌るリングに強く炎が灯る。

「風紀...？まあいいさ。敵の守護者の撃墜記録を更新するのは嬉しい限りだ」

彼のリングでも雷鳴を上げる炎が光度を増す。

「オレも...男の子なんでね」

カチッと匣と指輪が触れあった瞬間、互いの匣が互いに肉薄する。
紫と緑の炎が弾けながらも、僕の匣の方が一枚上手みたいだね。
炎の強さによる推進力を生かし、上手く二匹の狐の間に食い込んでいく。

「ハリネズミとはかわいいが何てパワーだ...。これだけの匣ムーブメントをよくそんな三流リングで動かせる」

また彼は、見ただけの情報を彼の基準で型に嵌める。
僕は君の狭い価値観に囚われない。
それをこうして誇示できるのは、なかなか悪くない気分だよ。

「僕は君達とは生き物としての性能が違うのさ」

嵌めていたDランクのリングが砕け散る。
その事実に彼は冷や汗を流した。

(波動に耐えきれずリングが砕けた！？...リングを使い捨てにするかよ。こんな奴は初めてだ)

もっと君の余裕綽々な表情を歪めてみたいな。

「さあ、僕らも始めよう」

武器匣を開匣しわかりやすく構えて見せる。
そうすれば彼の方から距離を詰めてきてくれた。
僕は呼応するように、その追突に対抗する。

体術自体、中々に鍛錬を積んでいるようだね。
勿論トンファー越しに感じる彼の炎は、予想通り高い純度を保つ。
このくらい動けるんだったら少しは楽しめそうだな。

まるで頭上の匣のように、彼の隙間を理解しながら、激しくぶつかり合う。