【R E B O R N !】雪の守護者は白兎『 Ⅲ 』 (ページ1)

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九十二片(リング編終了) ページ1

リングに関連した数多のごたごたも先日決着がついた。
並盛中を主戦場とした一連の騒動。僕も少し楽しませてもらいはしたが、これほど並盛の地に傷を残すとは聞いていない。
校舎を始めとする建造物の損壊。サルが穴を空けていった道路。そういった物は直すと約束され実際元に戻っている。が、それ以上に風紀を乱され過ぎていた。
日本に外国の不審人物が押し寄る。それだけで住民は不安に思う。
本来風紀委員が正すべきところだ。僕が不在だろうと仕事をできなかった委員が悪い。

本格的に組織の再編を考えてみようか。
そう。ならついでに、鈴を正式に役職につかせないと。
鈴は本当に仕事ができる。実質的には僕の秘書だ。本当は僕一人で十分。けど僕が遊んでいるとき、的確に盤上を片付けてくれる。だから時間の余裕ができて、もっと咬み殺せる。

「委員長！本日の地下商店街イベントの件ですが」

その地下商店街も鈴が手伝ってくれたから短時間で施工を始めることができた。
僕が念のため安静にしている間、風紀を正常にするため計画していた案を形にした。
僕無しでは外出しないよう言い含めているから、鈴は表に出ずに、風紀委員を使って効率的に。

「僕は出ないよ。もちろん鈴もね」

イベントなんて群れが大量に発生しそうなところ、開催するのも嫌なくらいだ。
草壁に背を向けるよう寝返る。
太陽の匂いがする、もふもふの鈴に顔を埋める。

やはり、鈴は兎の姿がいい。
鈴の不思議な能力に非常に興味はそそられる。
あの炎を隔離した力は本当に鈴のものなのかとか。沢田綱吉の能力に似ているだとか。
けれどそれが鈴の体を蝕む以上、濫用はできない。たとえ本人が望むことだとしても。
何も焦ることはない。だから君は兎がいい。

そうだ、少しの間だけ、僕と戦う時だけ腕輪を許可しようか。
傷も癒えそろそろ体を動かしたくなってきたところだ。
鈴を抱き上げ胸の上にのせる。うつらうつらとしていた鈴は瞬きを一つして、また安心したように瞼を伏せる。
青空の下、太陽光をも反射する白銀が眩しくて、僕も目を閉じる。
ゆっくり毛並みを整えてやりながら、今日は鈴と戦う気分じゃないなと思う。

ふと思い立つ。
久しぶりに赤ん坊のところにでも行ってみようか。
あの日以来会っていなかったな。僕がどれだけ赤ん坊に近付いたのか気になる。
鈴を抱えたまま立ち上がって街を見下ろした。
今日も風紀は乱されていない。市街地の一角で焚火でもしているのか、煙が上がっている以外は。