四十三片 ページ47
「お戻りください、委員長！これだけの数に襲われてはいくら貴方でも･･･」
「草壁」
僕は忠告してあげたのに。聞き分けのない。
「ついてこないでって言ったはずだよ」
「ですが自分は...」
直後。
動物たちが自らを奮い立たせるように雄たけびを上げ、襲い掛かろうとする。
「委員長！！」
あれ、やる気？
意気地なしかと思ったけれど、タイミングを計っていただけ？
いいね。それなら、旨味のある群れかもしれない。
無意識のうちに舌なめずりをする。
途端、動きが止まり、動物たちが後退していく。
なんだ。つまらないな。今の期待を返してほしいよ。
「...フン」
鈴を追わなくては。もう姿が見えない。
またさっきのように少し早足で歩き出そうとした途端。
周りの野良達とは違う、単体での大きな唸り声が響く。
刹那、影が前方から走って来て、立派なたてがみをたなびかせ僕を睨む。
動物園からそのまま連れてこられたような風貌をしているそれは、何処から来たのだろう。
明らかに周りとの力の差が激し過ぎた。
「ラ、ライオン...！」
いつもなら喜んで相手をするところだが。
トンファーを強く握る。
この肉食獣は鈴が向かった方向から来た。それだけの小さな情報で嫌な事を考えてしまう。
動揺を悟られてしまったら隙が生まれてしまう。それを草食動物とは違い的確に利用してくるだろう。
一定の距離を保てるように少しずつ移動する。
それにあわせ向こうも動く。
速く状況判断をしなければいけない。
彼にどこか血の痕跡は？
...有る。だがそれはほんの数量。
走ってくるときに他の動物を傷つけた可能性だってある。
でも何らかの理由で兎になっていたら？
いくら俊敏だからと言って、あの時みたいに野良犬にだって食われてしまう。
ネガティブに考えてはいけない。
そもそも鈴は強いのだ。
六道骸の時、忌々しいサクラの時に、強いランキングがどうのこうの話していたが、後で眼鏡君が言っていた情報と合わせると、僕は二位で鈴は一位らしい。
僕より強い...のが本当かどうか今度確かめるけど。
だから大丈夫。
早く片を付けて鈴を探しに行かなくてはいけない。
好戦的というわけではなくて、どちらかというとこちら側の様子を伺っているようだった。
野良の動物達は僕らを取り囲み、形容するなら生きたボクシングリングといったところか。
「...」
闘争心は上々。本物の肉食獣を相手することは珍しいから楽しみではある。
でもそれ以上に、今は邪魔に感じている。
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雪兎(月兎)(プロフ) - ユズナ様、ご指摘有難うございます。修正いたしました。 (2015年10月1日 20時) (
レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユズナ(プロフ) - 三十三片、うつ伏せの状態をうつ伏せにするっていう謎の描写が… (2015年10月1日 20時) (レス) id: 3fdd76a3cc (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 1807(銀)様、コメントありがとうございます。そろそろ二期に･･･ (2015年2月2日 0時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
1807 - 銀の名を変えました〜鈴ちゃん、強いなぁ・・更新楽しみにしています (2015年2月2日 0時) (レス) id: 917ddba170 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 銀様、コメントありがとうございます。理由があって人間のままです。マシマロ類の柔らかさが好きです、個人的に。 (2015年1月18日 11時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2014年9月15日 14時
