四十二片 ページ46
黒曜。
名前を聞くだけでもなんだか気分が悪い。
六道骸...忌々しい桜を見せつけ僕に一度だけでも膝をつかせた。
骸の駒...野良犬ごときが鈴の腹を咬み千切った。
それに、僕が不機嫌だとわかっているのに後ろにいる、草壁。
「ついて来ないで。邪魔だよ」
「っ！」
さっきからこそこそとうっとおしい。
僕は黒曜のことを思い出してムカついてるんだ。
草壁哲也。君もその時にムカついた草食動物の一匹だ。
鈴を勝手に連れ出して、野良犬に明け渡した。
鈴が許すから僕も加減したけど、本来なら降格すら考えていた。
「しかし...！」
帰る様子を一向に見せない。
あれだけ咬み殺したのに引き下がらない頑なさは悪くはないけど。
もう、面倒くさい。
どこか遠くから獣の鳴き声がする。
犬か狼かそれとも他の何かか区別はつかないが、明らかに敵意と警戒心を持っている声。
この声の主たちは今何処にいるのか。
『 こくよう へるしー らんど ？ 』
テレパシーでも伝わったかのようにタイミングよく鈴が教えてくれる。
「そうかもしれないね」
頭を撫でる。
手を離すと嬉しそうにぴょんぴょんとジャンプした。
黒曜ヘルシーランド･･･そこか。
もしかして六道骸がまた何かやっているとか？
でも牢獄かなんかに放り込まれたって聞いたけど。
看板の文字が大きくなっていくと同時に唸る様な重低音が大きく、多くなっていく。
少し早足で先に進む。
鈴も僕の後ろにしっかりとついて来る。
そして、施設の前に着いた。
凶暴な目をした様々な種類の動物たちに囲まれて。
「なに？咬み殺されたいなら来なよ」
ここまでの数が集まるのは珍しい。
首輪を付けていない野良だらけだし、何より目が本来の理性を、感情を失っているように見える。
僕に向かって威嚇してくるだけで、いざこちらが進もうと足を動かすとその方向にいたのはすぐに退き道を作る。
咬み殺し甲斐のない弱者か。
鈴が何かを見つけたようだ。
急にそちらに向かって走り出す。
それに呼応するように道が広がっていく。
先程から思っていたが、動物たちの僕を見る目と鈴を見る目が違うように感じる。
「･･･････」
まあどちらにせよ。
あの男は敵を前にして怯える様な生ぬるい調教はしないだろう。
それすなわち、六道骸の仕業ではない。
鈴の反応は黄色い鳥の手がかりを見つけたそれだし、保護して、後は帰るだけ。
「委員長！」
後ろを振り返る。
そこにはボロボロになった草壁。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 131人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「リボーン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪兎(月兎)(プロフ) - ユズナ様、ご指摘有難うございます。修正いたしました。 (2015年10月1日 20時) (
レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユズナ(プロフ) - 三十三片、うつ伏せの状態をうつ伏せにするっていう謎の描写が… (2015年10月1日 20時) (レス) id: 3fdd76a3cc (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 1807(銀)様、コメントありがとうございます。そろそろ二期に･･･ (2015年2月2日 0時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
1807 - 銀の名を変えました〜鈴ちゃん、強いなぁ・・更新楽しみにしています (2015年2月2日 0時) (レス) id: 917ddba170 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 銀様、コメントありがとうございます。理由があって人間のままです。マシマロ類の柔らかさが好きです、個人的に。 (2015年1月18日 11時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2014年9月15日 14時
