二十九片 ページ31
「おい、その子を放せ！」
「おっと、そこから動かないほうがいいぜ？女が赤く染まっちまうからよ」
戦闘に移ろうとしていた金髪が悔しそうに睨みつける。
十人位に囲まれ本来ならすぐに終わらせられるところだけど、鈴の事を考えるとそう簡単ではない。
「さあ、おとなしく首をもらおうか」
敵の目線から見ても標的は僕。どうやれば一瞬で片がつく？
目の端にキラリと光が映る。とっさに避けるとそれはナイフ。
ほんの少し制服が切れる。
瞬時。
「がハッ！！」
声がしたのは鈴が居る方向。
振り返って見てみるとそこには誰にも居ない。
「な、なんだ？！何処行きやがった！」
動揺している今がチャンス。目の前の奴に攻撃を仕掛ける。
なんだか、「鈴なら大丈夫」という根拠のない自信があった。
また囲まれないように距離をとる。
金髪もすぐ状況を判断し、鞭を使って牽制しながら辺りを見回す。
「どこいった？無事か？くそっ！」
その時フェンスに片手を突き外側から飛び越える影が一つ。
「あの女！」
「鈴さん！！」
ワンピースが風に吹かれまで巻き上がる。
地に足が着いたかと思うと凄まじいスピードで敵の首に手刀をあびせ、そして話せない口が開く。
「 死んで詫びろ 」
そう言っているように見えた。
全員が気を失う。
屋上にあった鉄パイプを振りかぶって、相手に止めを差す、前に。
「待て」
金髪が険しい顔で止める。
振り返った鈴は無表情でなぜ止めるのか分からないといった様子で首を傾げる。
「お前何者だ？いや恭弥の兎ってことは分かる。元々人間か？その力を何処で手に入れた？」
確かに鈴は兎だ。元は人間だったとしても何らかのきっかけがあるはず。
それに少女があんな攻撃力を持っているはずがない。
そもそも本来普通に生きてきた人間にとって兎が変身することなんて信じられないことであり、疑問を持たないほうが珍しい。
説明しようにも出来ないのかそれとも分からないのか、パイプを地面に置き困惑した表情を見せる。
なにか、何かきっかけになっていそうな物はないか。
右手首に太陽光が当たって光る。
「...腕輪」
そう、腕輪。
「ねぇ、その腕輪貸して」
素直に差し出された右腕を手に取り腕輪をはずした途端。
また目の前が見えなくなる。
「またか！？」
目を開くと、僕の腕には兎の鈴と不思議な紋様のある腕輪。
「その腕輪が原因か？」
(その紋様･･･リングの箱にも･･･)
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雪兎(月兎)(プロフ) - ユズナ様、ご指摘有難うございます。修正いたしました。 (2015年10月1日 20時) (
レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユズナ(プロフ) - 三十三片、うつ伏せの状態をうつ伏せにするっていう謎の描写が… (2015年10月1日 20時) (レス) id: 3fdd76a3cc (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 1807(銀)様、コメントありがとうございます。そろそろ二期に･･･ (2015年2月2日 0時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
1807 - 銀の名を変えました〜鈴ちゃん、強いなぁ・・更新楽しみにしています (2015年2月2日 0時) (レス) id: 917ddba170 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 銀様、コメントありがとうございます。理由があって人間のままです。マシマロ類の柔らかさが好きです、個人的に。 (2015年1月18日 11時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2014年9月15日 14時
