二十五片 ページ27
鈴は草壁哲也に任せた。
そういえば黒曜のときの失態は酷かったな。
鈴を勝手に外に連れ出して、あの犬に明け渡した。
殺そうとトンファーを振り上げる度、鈴が庇うように前に出てくるから、鼻の骨を折るだけで勘弁してあげたけど。
「学校の屋上とは懐かしいな、好きな場所だぜ」
それには同感だよ。
だけど、気に食わない。さっきからニヤニヤして、まるで僕の反応を確かめているような。
「じゃあずっとここに居させてあげる。這い蹲らせてね」
予備動作なく肉薄して軽く顔の前で振る。
上半身だけ動かして避ける相手。
反対の腕でもう一回振ると仰け反ってまた避けたから、その反動で顔が来るであろう場所に向け振り上げる。
鞭でそれ以上トンファーが上に行くのを防がれた。
そういう使い方もできるんだ。
「その歳にしちゃ、上出来だぜ」
「何言ってんの？手加減してんだよ」
何で僕が足に攻撃しないのか、分かってる？
左腕を使って殴ると同時に右のトンファーに引っかかったムチを解く。
足を移動して身体を回転させながら往復するように左で打撃。
髪がパラパラと落ちるのが見える。
避けきれなくなってきている証拠だ。
驚いたような顔をしてから笑う相手。
「しょーがねえ」
鞭を振るう。
やっと本気を出してくるってワケ？
でももう遅いよ。そんな攻撃当たらない。
「甘いね。死になよ」
止めを刺すために少し高めに腕を上げ、振り下ろ、せない。
「っつ！」
梯子にムチがかかっていて左腕にまきつく形で動きを抑えられている。
いつの間に。
「お前はまだ井の中の蛙だ。こんなレベルで満足してもらっちゃ困る。もっと強くなってもらうぜ、恭弥」
その上から目線がムカつく。
先生気取りなの？
当然のように下の名前で呼んできて。
許した覚えはないよ。
「やだ」
僕は誰かの下につくつもりはない。
「なっ」
右腕で動揺してる相手を殴る。
「てっ、てめーなあ！」
結構な勢いでやった筈なんだけど、頭から血を流しよろける程度。
あの少しの時間でとっさに直撃を避けた？
久しぶりの戦える好敵手として、この男、面白いかもしれないね。
気にくわない所に変わりはないけど。
？視点
「それでいい、お前達はどんどん戦え」
足に柔らかい何かが触れる。
「兎か？鈴とか言ったか。主人が心配か〜？？そうかそうか〜〜よしよし」
『雲 様 強 ので 配など必 あり せ 』
...今、女の声がした？
「まさかお前とかじゃないよなあ〜」
兎は瞬きをするだけ。
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雪兎(月兎)(プロフ) - ユズナ様、ご指摘有難うございます。修正いたしました。 (2015年10月1日 20時) (
レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユズナ(プロフ) - 三十三片、うつ伏せの状態をうつ伏せにするっていう謎の描写が… (2015年10月1日 20時) (レス) id: 3fdd76a3cc (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 1807(銀)様、コメントありがとうございます。そろそろ二期に･･･ (2015年2月2日 0時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
1807 - 銀の名を変えました〜鈴ちゃん、強いなぁ・・更新楽しみにしています (2015年2月2日 0時) (レス) id: 917ddba170 (このIDを非表示/違反報告)
雪兎(月兎)(プロフ) - 銀様、コメントありがとうございます。理由があって人間のままです。マシマロ類の柔らかさが好きです、個人的に。 (2015年1月18日 11時) (レス) id: 50f4ecb5a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪兎(月兎) | 作成日時：2014年9月15日 14時
