夏ときみの声と -Summer Memory-

＊ ページ31

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だけど…全然大丈夫じゃなかった。









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大貴「久しぶりA。」









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Aの名前を呼ぶ大貴と

目を見開くA。









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侑李「あれ、知り合い?」

大貴「……まあ、うん。」









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僕の問いかけに気まずそうに頷く大貴。

Aも俯いて、大貴と目を合わせようとしない。









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大貴「久しぶり、A。」









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大貴は首を傾げ、Aの顔を覗き込んで、

笑った。









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優しすぎる表情。

いつもより高い声。









いつもとどこか違う、Aと大貴。

二人だけの世界…








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そんな二人を見て、

昔、大貴が言ってたことを思い出した。









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“俺の幼馴染、泣き虫なの”









泣き虫な幼馴染の存在。









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“アイツは泣くことでしか

感情を押し出せないから”









普段から感情を押し殺す、








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“へへ、俺の初恋”









大貴の初恋の人…









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侑李「あ…」









ま、さか…

大貴の言っていた幼馴染って…









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大貴「A!?」









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大貴の大声で、ハッとなる。









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Aを見れば、苦しそうに胸を抑えて

その場でしゃがみこんでいて、









その肩に触れようとする手…









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大貴「A、お前もしかして……」

侑李「どいて大貴。」









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二人の関係が分かった時、生まれたのは“嫉妬心”。









僕は慌てる大貴の肩を掴み、

Aの体を抱き抱える。









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…あのとき、力がなくて出来なかった事が

今は出来ていた。









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侑李「ごめん大貴。とりあえず今日は帰る。」

大貴「あ……」









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Aを隠すように背を向ける僕。

これ以上にない、自分でも驚くくらいの冷たい声。








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侑李「また連絡するから。」









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とにかく、今は大貴からAを遠ざけたかった。









もちろん、Aの様子が変だということも

あったけど……









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侑李「……相手が大貴って、

敵うわけないじゃないか。」









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敵わないから、

こんな卑怯なことしか出来ないんだ。








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