徒桜

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約束したのは、いつだっけか



たしか、小学生の頃


まだ、なにもかも知らない子供の頃だったね









「本ちゃん！桜だよー！」




「待ってよ、走んの早すぎ……！」







幼馴染みのタムちゃん




ずっと、幼稚園の頃から一緒だった



家も、空き地を挟んですぐ隣



いつも一緒に遊んでたよな








「まだ桜に勝てない……」



「桜より大きくなるなんて無理だよ」



自分の背丈より、はるかに大きな桜の樹を



タムちゃんは越えたがってた


人間の身長には限度があるのに


タムちゃんはおバカなんだなぁ…







「なぁ、本ちゃん」



「ん？」



「また、すぐに散るのかな？」



「…多分ね」







桜って、本当に悲しい



こんなにも美しいのに、すぐ散ってしまう









「本ちゃん、約束しよ！」




「なにを？」



「これから、毎年！一緒に桜見に来よう！」



「別に、ベランダからも見えるよ？」



「ダメなの！俺は本ちゃんと二人並んで見たいの！！」







まだ5年生なのに、惚れるぞ



…なんて、思ったりした

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