独占欲

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どうしても、もやもやが消えなかった




なんだったか


すげぇ、大切なもの…………








「タムちゃん！今度映画いこ！これ！」


「映画ー？なにこれ、ヴァンパイアナイト……えー、怖そうだよー泣」


「えー…じゃあ、つーじ！いこ！…あ、つーじ、怖い系ダメじゃないよね？」



「あ？いや、ヴァンパイアは怖いもんじゃねーだろ」





………なにいってんだ



ヴァンパイアなんて、人間を襲うような



あんな恐ろしいもの…





「ヴァンパイア、ゆーちゃむ怖いよぉ泣」



「どこがだよ…ヴァンパイアってのは…優しくて、…暖かくて…」





なにいってんだよ、俺…





「って、つーじ、どうしたの！？」




「…………は？」





気づいたら、涙が溢れていた



なんにも悲しいことはないのに


嬉しいことだってなかった



なんで………






「…………勇…翔」




「え？」




「勇翔………」






突然、頭に出てきた名前









"勇翔"






顔も、声も、



なにもかもが、大好きだった




優しくて、暖かい、ヴァンパイアらしくないヴァンパイア









「勇翔だ………なんで、今まで忘れて…」









アイツを忘れるなんて、どうかしてる……



これも、アイツが消滅した影響？



この世から消えたからって、悲しすぎるだろ









「勇翔だ……ゆーちゃむ、勇翔わかるか！？」


「勇翔…？んー…なんか、聞いたことある…」


「田村は！？」


「えっ、えっとねー…あー…なんだっけ…」




皆、完全に忘れてるわけじゃねぇってことか…！







せめてでも、あいつのことを思い出せば



存在がなくても、俺らのなかでだけでも…








あいつのことを、もう2度と忘れたくない……

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