白髪赤目の893に拾われた話【ヒプマイ】 (ページ3)

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左馬刻side

廊下へ放り投げたガキに『来い』と残してリビングへ行くと、少し離れて後ろを着いて来た。言うことは聞くみてえだな。

『座れ』

部屋の広さには合わないデカめの黒いソファーに座り、隣を顎で指す。

遠慮がちに端の方へ座ったソイツにとりあえず疑問をぶつけていく。

『歳は』

「･･･14」

『学校は』

「行って、ない」

『親』

「いない」

『家どこだ』

「分かんない。でもここら辺じゃない」

ある程度想像していた答えだ。大方片親かなんかで虐待受けて逃げてきたんだろう。つくづく俺に重なる。

『自分で手当てしろ。着替えてくる』

野良バトルの相手で軽く怪我をして帰ることが多いため常備してる救急箱を突き出して寝室に行く。

アイツが逃げるか逃げないかの賭けだ。

クローゼットから適当な服を引っ張り出して汚れの酷い上だけ着替えて戻れば、小さな挙動で傷を消毒してるガキの後ろ姿が見えた。

ソファーのさっきと同じ場所に座る。

『逃げねえのかよ』

「･･･別に」

目線を変えることなく淡々と処置を終わらせていくガキに、どんどん興味が湧いてくる。

『･･･しばらく面倒見てやる。名前教えろ』

よっぽど機嫌が良かったんだろうか。
普段の俺からしたら頭でも打ったかと言われそうな提案を投げた。

少し黙った後、返事の代わりにガキが呟いた。

「･･･A」