77 大我side ページ28
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2日目の授業と補講が終わる。
今日のレクは肝試しだから騒ぎ声が教室まで聞こえてきた。
俺も肝試し出たかったな。←
そんな思いを抱えて、自分の部屋まで戻ると、1人の生徒がドアの前で座っていた。
先生の部屋がある階に生徒がいるのは、禁止されているはず。
大我「……樹?」
樹「あ、先生」
そこに座ってたのは、紛れもなく樹だった。
彼は俺を見つけると、やっと来た、とでも言うような顔をして立ち上がる。
樹「先生、話があって」
大我「生徒がこの廊下にいるのだめだから…」
ロビーに行こう、そう言おうとした。
でも、彼の目は真剣で、きっと今朝のことだろうと察した俺は、あえて自分の部屋に入れる。
ロビーは、誰が聞いてるか分からない。
大我「なんか飲む?」
俺は適当に冷蔵庫からジュースを取り出して、樹に渡す。
樹「あの、朝のことで話しておきたいことがあって」
彼は容赦なく、話を始める。
いつもの、友達とふざけあっている田中樹じゃない。
彼の目は真剣そのものだった。
樹「俺とAのこと、先生には誤解して欲しくないから、本当のこと伝えにきました」
俺は樹に背を向けたまま、放心状態になる。
樹がAのことを好きなのは、彼を見ていて分かっていた。
だから、Aと樹が一緒にいるところを見ると自分でも感情をコントロールできなくなる。
でも、そこで抑えなければ、先生として失格なわけで、塾では必死に感情を押し殺していた。
彼はAが好きだから襲ってしまった、とでも言うのだろうか。
そんなことを言われたら、先生としての立場ではいられなくなってしまいそうな自分がいる。
気持ちを落ち着かせたいのに、それができない。
……俺は、先生失格だ。
樹に背中を向けたまま、話を聞き続ける。
樹「Aとは、何も無いんです」
大我「…え?」
想像とはまったく違う彼の言葉を聞いて、俺は呆然とする。
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りこ - すごい面白いです!また交換していただけると嬉しいです (2020年4月27日 9時) (レス) id: 4d62ada711 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2019年9月7日 0時) (レス) id: dc867d738f (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん。 - とても、面白いです。更新待ってます。 (2019年8月4日 8時) (レス) id: 94770c9e14 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - annintamtamさん» コメントありがとうございます!今後も楽しんでいただけるように頑張ります!!! (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん。(プロフ) - ゆなさん» コメントありがとうございます!大好きだなんて、嬉しくてにやにやしちゃいますっ笑 頑張りますので応援よろしくお願いします♪ (2019年7月20日 11時) (レス) id: c0f86098d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なつみかん00 | 作成日時:2019年7月6日 19時