たいやきが九匹 ページ10
「お、もも肉安いじゃん」
バイト上がり、近所のスーパーで夕飯と明日のお弁当の具材を買う。
作るのは時間がかかるけれどやっぱり自炊の方が安く済む。作り置きできるしね。
「あとは…醤油切らしてたっけ」
カートの向きを変えて調味料コーナーへと足を進める。
「よし。あとは買うもんないかな」
醤油を手に取りカゴの中へ入れる。
「お、Aじゃん」
「！！？」
カゴに入れたものをチェックしていると急に後ろから声をかけられた。
「み、三ツ谷くん！？」
「よ、奇遇だな」
びっくりして振り返ると三ツ谷くんが立っていた。不良の彼には不相応な買い物カゴを持って。
「三ツ谷くんも買い物ですか？」
「あぁ。妹たちに夕飯作ってやんねェとな」
「妹たち？」
聞けば三ツ谷くんのお母さまが働きに出ている間、幼い妹たちのお世話をしているそうで。
「三ツ谷くん偉いんですね…自分のこともあるのに」
「おーありがとな。でも楽しいことも多いし、オレが好きでやってるってのもあるな」
へへ、と照れくさそうに笑う三ツ谷くん。全く弱音を吐かない彼に尊敬の念を向ける。
「で、何でAこそ買い物してたんだ？お遣いか？」
「あ、え、えっと…………私、家族がいなくて、一人暮らしなんです」
三ツ谷くんに質問され、言葉に詰まってからそう返すと彼は何かを察したのか、「悪りぃ、聞いちゃマズいことだったか？」と申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「ううん、違うんです。ただちょっと話が長くなるから、なんて答えればいいか戸惑っちゃっただけで」
「………」
「立ち話もなんですし、そろそろ帰りますね！またお店にも来てください！」
三ツ谷くんも妹さん達を待たせているだろうから、彼にさようならと告げる。
「っ待て！」
だがレジへ向かおうとしたら、三ツ谷くんに呼び止められた。
「……？どうかしました？」
「あ…もしAさえ良ければ、今日ウチでメシ食ってかねェか？」
「え！？私が！三ツ谷くん家に！？」
何だろうと思って首を傾げていると、彼から帰ってきたのは思いもよらない返答だった。
「いやいや、でも、三ツ谷くんのご家族が…」
「今日は仕事で母親は帰ってこねぇから大丈夫だ」
「それに、三ツ谷くんが大変なんじゃ…？」
「それに関しては心配いらねぇよ。オレ、もっとAのこと、知りてェんだ」
ダメか？と見つめてくる彼に私は頷くほかなかった。
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切猫(プロフ) - イチゴミルクさん» コメントありがとうございます(^^)本作を楽しんで頂けて嬉しい限りです！灰谷兄弟とても迷っていたので参考になります…!三途君はちゃんと夢主と絡ませるつもりですので楽しみにお待ちください♡ (2022年10月9日 18時) (
レス) @page17 id: 4abe33d0e2 (このIDを非表示/違反報告)
イチゴミルク(プロフ) - 初コメ失礼します！夢主ちゃん可愛すぎるっ…三ツ谷君とかもちょいとタジタジになってるの尊…オチに関してなのですが，三途君か灰谷兄弟見てみたいなと…希望なので，他の方々でも全然有りです！！！無理しない程度に更新頑張って下さい！応援しておりますっ (2022年10月9日 16時) (レス) @page17 id: 4b77fe0276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：切猫 | 作成日時：2022年10月2日 10時
