・epi03・ ページ3
朝起きて、出社準備を整えてから家を出る。
そんな余裕のない時間。
そんな時に限って電話は鳴る。
幸いにも今日は早く起きたから、カフェでも寄って自分が趣味として勉強を続けている中国語とか新しく取る資格を探してみようかな、なんて考えていただけで時間はあるから電話を取ることにして。
スマホの表示している番号を確認する。
「あれ、登録してない番号なんてあったっけな」
記憶を辿ったところで、そんなものはないに等しいと分かっている。
「、、はい」
登録していない番号なこともあって、少し慎重に電話に出てみる。
「あ、もしもし。私恋愛発展という番組のプロデューサーの橘と申します。こちら、小嶋A様のお電話で間違いないでしょうか？」
「間違いないです」
恋愛発展って何？ 番組？ プロデューサー？
頭の中は大混乱で、多分家の電気コード配線よりこんがらがってる。
そんな中でも無情に話は進められていく。
「よかったです。この度は当番組の出演応募していただきまして、ありがとうございます。それでですね、、」
出演応募？ そんなのしたっけ、、
「あの、私で合ってるんですかね？ 申し訳ないんですけど、記憶には応募なんてしてなくて」
「はい、小嶋A様、1995年の7月30日生まれ。血液型はO型と記入されておりますが、ご本人様のものですよね？」
「私です、、」
なんなのこれ、ちょっと怖くないか、、？
必死に記憶を辿ると、思い当たる話が１つ。
「あ！ 夕夏、、」
「大丈夫ですか？」
「あ、すみません。多分友人が応募したんだと思います」
ご飯行った時にそんなこと言ってたような気がする。
そうだったんですね、なんて返事を聞いて。
そこからは、知らないご様子ですのでって番組の概要とか、どのくらいの期間放送されてるのかとか、番組内でできたカップルにはこんな人がいるだとか。
そんな話を教えてもらって、少しばかりこの番組に興味が出てきた。
「それでですね、本題なんですけど」
「あ、はい」
どうやら今からが本題らしい。
「是非、小嶋さんに出演していただきたいと思っておりまして」
長い説明の中で、少しだけ話し方がフランクになった橘さんがそう言った。
言った。
「え、私ですか？」
なんで？
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作者名：naa | 作成日時：2020年5月14日 3時
