【男主】unità difettoso！【APH】

18話 ページ20

「フェリシアーノ、ロヴィーノ、大丈夫だったか！」

「ヴェ、ルート！俺たちは大丈夫だよー！」



出迎えた体格のいい男は足早に俺たちに近付くとすぐに気遣いの言葉をかける。その心配が全面に表れている顔に、へら、と笑ってピースサインをとると、やっとそいつは安心したように胸をなでおろした。しかしすぐに「本来なら俺の仕事なのだがな。」と申し訳なさそうに謝る。責任感が強いのがこの男の特徴だ。

俺たちが大きな組織になってもう随分長い時間が経っている。この地を根城にしてからだってかなりの歴史があるのだ。
そんな長い時間をかけて築き上げた家族の家が、今更人々の知らない場所にひっそりとあるはずはない。俺たちの本家は町に何かがあればすぐに向かうことができるように、その存在を知らしめるようにして、町の中心から少しだけ離れた場所に堂々と構えてある。ヴァルガスはここにありと誇示するだけでも訪れる厄災の数はかなり減るのだ。

俺たちは今しがたその我が家に帰ったところであり、出迎えた幹部の幼馴染みの仕事をボスが代行したとあって謝罪を受けた次第だ。



「別にアイツは俺らの面に泥塗ったんだ、直々に出向いてやらなきゃ気が済まなかっただけだちきしょー」

「そうだよ！ルートが気にすることないってー」



はいこれ、と袋に詰めた死体をルートに渡す。ルートは中身を確認して頷くと、すぐに部下の男を呼び寄せた。袋を預けて何事かを言い渡す。きっとこれからあの死体は海の底に沈むのだろう。

やっと肩から荷が降りた感覚だった。物理的な意味である。だって俺には男を抱える趣味はない。男の臭いもあるからさっさと着替えてしまいたいくらいだ。

兄ちゃんが誰かに呼ばれてホールの奥へと消えていく。確かギルベルトが帰ってきているはずだから、その成果を確認しに行ったのかもしれない。幼馴染みのその兄は諜報も戦闘もうちでは随一の腕前だ。

ルートが俺に「部屋に戻るか？」と聞いた。俺はそれに素直に頷く。なんだかとても疲れていたから、すぐにでもシャワーを浴びてベッドに体を埋めたかった。

真っ直ぐに階段を上がり部屋に向かう。その突き当たりにある花瓶にはデイジーが咲いている。

ふと、何故か白い菊を思い出した。今日どこかでその香りを嗅いだような気がする。はて、どこだっただろうか。

しかし次の瞬間やってきた睡魔に、その疑問はすぐにかき消されてしまう。俺はなんてこともないように自室に辿り着くと、静かに扉を閉めた。

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