No.278 ページ39
騒ぎ声が聞こえたかと思ったら、すぐにギィイと上から格子蓋が開く音。
声と一緒に、階段を駆け下りる音も大きくなる。
｢おいっ！ なんだよ、これ!?
家事か!? 水持って来い！｣
｢あのガキ、何やらかしたんだよ！
無事なのか?!｣
｢ガキに何かあったら、オレらがヤベェ！｣
階段の位置は把握している。
煙で何も見えないけど、前に進む事は今の私にも出来る。
音を立てないように静かに、でも出来るだけ素早く、私は騒ぐ彼らの脇をすり抜けて、階段を上り切った。
｢…ん？ あ！ 見つけたぞ、ガキ！
おい、お前、何を…っ｣
気付かれた、けどもう遅い。
私の方が一歩速かった。
重い格子蓋を力任せに閉め、ガチャリと鍵を掛ける。
貴｢ふぅ……｣
なんとか出られた。
今ので、残り残り少ない体力がごっそり持っていかれたけど、休んでいる時間はない。
軽く息を整えて立ち上がり、目を上に向けた。
夜…ではないと思う、けれど外は不自然なくらいに真っ暗。
よく目を凝らして見て見れば、岩肌みたいな壁が見えたから、たぶん洞窟のような中にいるんだと予測はついた。
へりから半身を乗り出して下を覗くと、ゆらゆらと揺れる水面に、私の顔がかすかに映り込んでいる。
海はあの辺までで、足場はちゃんとある。
今は甲板には誰もいないけど、いつ誰がここに来て見つかるかもわからない。
両手が塞がれているという不安定な体勢ながらも、へりの上に両足を乗せて立つ。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
