No.277 ページ38
──｢以前のようなお迎えも、期待しない事ですね。
王子が迎えに行く相手は姫だけだと、相場は決まっています｣
……そうだよ、私はお姫様なんかじゃない。
だから、お姫様のように、助けに来てくれるのを信じて待ってる必要なんかない。
帰りたいなら、帰ればいい。
あの時とは違って私には、帰れる場所が、帰りたいって思える場所があるんだから。
まずはここから出ない事には、何も始まらない。
部屋の中に置いてある木箱に、何か使える物はないか、そこから動いてみよう。
気持ち一つで、体はいくらでも軽くなる…わけもなく、やっぱり体は重くてだるい。
それでも、無理矢理にでも動こうとしてるんだから、やっぱり気持ちの問題でもあるみたい。
貴｢…あ、マッチ｣
これで火でも点ければ、慌てて上にいる者が消しに現れてくれるだろうけど、私自身に危険が伴うので却下。
何か他にないかと探すけど、使えそうな物は何もない。
そういえば、階段の奥にも木箱があったよねと思い出す。
足を引きずるように、壁に手をついて移動し、
積み重なった木箱の一つを覗き込んだ。
貴｢…これ、使える｣
綺麗に並べられた円筒状のそれを手に取り、躊躇いなく先端の導火線に火を点けた。
瞬間、大量の煙を噴き出すそれは、発煙筒というもの。
間髪入れずに、二つ、三つと火を点けていく。
貴｢ケホッ、ケホッ…｣
もうちょっと考えてから、火を点けるべきだった。
煙が一気に充満して、目を開ける事すらも儘ならない。
でも、狙い通り煙は、上の格子蓋から甲板へと昇っていってくれた。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
