No.265 ページ26
｢え、何…今の反応…｣
｢ただ、総長を慕ってるなーって、そういう意味で言ったんだけど…。
え、お前もしかして、本気で総長の事…｣
貴｢っ｣
どうしよう、早く言わなくちゃ。
今のは間違いだって、私は総長が好きだけど、
でもそれに恋愛的な意味はないって。
早くそう言わなくちゃならないのに、喉がカラカラに渇いて、声が出てくれない。
どうしよう、違うって言えない。
…声が…出ない…。
｢あ…｣
一人の目が一瞬大きく見開かれて、すぐに慌てたように瞳を左右に動かす。
貴｢え｣
その人の視線に釣られるように後ろを振り向くと、そこには…総長が立っていた。
総長のその表情を見れば、わかってしまった。
聞かれた、全部。
知られた、想いを。
ｻﾎﾞ｢……A｣
貴｢っご、ごめんなさい…っ｣
総長の横をすり抜けて、食堂から逃げ出す。
ｻﾎﾞ｢A！｣
その声には応えられなくて、聞こえないふりをして船内をとにかく走る。
船の外に出て、森の中に入ったところでようやく、私の足は動く事をやめた。
体力はとっくに底をつき、足元から崩れ落ちる。
貴｢どうしよう…｣
もう何度呟いたかわからない、この言葉。
｢どうしよう｣と言ったって、どうしようもない事なんか、とっくに理解出来てる。
地面についている掌と膝に、ゴツゴツと石が刺さって痛いのに、立ち上がる気力はない。
元々弱い光源は、茂る木々で覆われてしまい、
辺りは真っ暗。
見えないけど、船からはそこまで離れてはいない。
だから戻ろうと思えば、すぐにでも帰る事は出来る。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
