No.259 ページ20
貴｢あ、師範、自分が行きます｣
｢A｣慌てて引き留めようと足を踏み出すも一歩だけ、にっこりと笑う総長に腕を取られた。
ｻﾎﾞ｢今日のお前は？｣
貴｢…絶対…安静…です｣
いや、自分のご飯を取りに行くくらい出来ますよ。
そう反論したい気持ちはあるけども、やっぱり気持ちだけ。
実際には、不満の声一つだって上げる事なんか出来ない。
言葉でも言い表せられない、なんとも言えないモヤモヤだけが、しこりのように残った。
貴｢あ、そうだ総長｣
朝食を持ってきてくれた師範にお礼を告げたあと、私は大事な事を思い出した。
本当は、総長に会ったら真っ先に言いたかった事。
いきなり体温を計られて、すっかり忘れてしまっていた。
貴｢あの、これ…どうもありがとうございました。
返すのが遅くなってしまい、申し訳ありません｣
ｻﾎﾞ｢ん？ ああ、ゴーグルか。
別に気にしなくていいぞ、Aに直接返してもらいたくて、回収しなかったのはオレだからな｣
…なんか今、訊きたくなかった言葉が聞こえた気がする。
私の手元にあるゴーグルを見るだけで、受け取る素振りを見せない。
ｻﾎﾞ｢付けて｣
貴｢へ…？ えっと、あの、付けて…とは｣
ｻﾎﾞ｢Aが付けてくれよ、オレの帽子にそれ｣
貴｢な、なぜ…っ？｣
ｻﾎﾞ｢んー、なんとなく…かな｣
口癖を真似された。
いたずらが成功したみたいに、得意気に笑う総長にはやっぱり敵わなくて、ゴーグルを持ったまま総長の背後に回る。
貴｢あれ、これ上下どっち…？
そ、総長、この留め具ってどうすれば…｣
あたふたする私の様子を微笑ましそに見てるだけで、どうやら手助けしてくれるつもりはないみたい。
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三暁 那保(プロフ) - オランジェさん» コメントありがとうございます！ とても嬉しいです！ ｢ユメうつつ｣は次で完結の予定です。ハッピーエンド目指して頑張ります！ 応援のお言葉、本当にありがとうございます。もう暫く、この物語にお付き合い頂ければ嬉しいです！ (2019年10月11日 23時) (
レス) id: 7810e58c3c (このIDを非表示/違反報告)
オランジェ(プロフ) - ここまで本当にお疲れ様です。陰ながら応援していましたが、最後の場面で感動して、これは感謝を伝えねば！！っと思い今回コメントしました。これからも頑張って下さい！ (2019年10月11日 22時) (レス) id: 6c614d1ce6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三暁 那保
| 作成日時：2019年8月11日 19時
