どうしてほしい？ ーCYー

ep31 【TO Side】 ページ31

【TO Side】

Aと付き合い始めて
もう2年が経とうとしてる。

正直、今のタオ達の間には
付き合い初めのドキドキするような瞬間とか
何でも優先して尽くしちゃうような部分とか
前よりも少なくなったとは思うけど

その代わりに
Aだから感じる安心感だとか
ワガママになって甘えられる部分だとか
一緒に過ごした時間から得たものが
確実に2人の間には生まれていて

だから…

A「ごめん、今日行けなくなっちゃった…」

TO「えぇー！約束したのにぃ！」

A「どうしても課題が終わらなくて…」

…こんな風に最近は
電話一本であっけなく
ドタキャンされることが増えたけど…

TO「大学の課題じゃなくて、バイトの課題なんでしょ？なんでそこまでAが頑張るの？社員じゃないし、そこに就職するつもりないのに…」

…こんな風にタオも
つい言い過ぎちゃうことも増えたけど…

A「ごめんね、タオ…」

TO「……」

デザイナー…っていうのが
どんなことをする仕事なのか
タオには今いちわからないけど

Aが夢中になってるから
本当は応援してあげたい。

でも、なんだか
いつの間にかAが
遠くに行ってしまったみたいで

どうしようもなく寂しくなる…

TO「寂しいな…」

A「…ごめんね…」

A、そればっかり。

タオはそんな言葉が欲しいんじゃないのに。

やりたいことをやってるAは
何も間違ってないよって
タオは言ってあげたいし

だからこれ以上Aが
よくドタキャンすることとか
タオと会えないこととか…

申し訳なく感じることのないように

タオは、寂しくないふり…

TO「……」

…なんて出来そうもないから
寂しくならないように

タオは、タオなりに考えたんだ。

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TO「ん〜…」

今日はこれで5件目。

大学の近く、Aの家の近く、
タオの家の近く…

いろんな条件に合う物件を
実際に歩いて探した。

会えないなら、一緒に暮らせばいい。

出掛けたりする機会が減っても
同じ家に帰れば会えるし
眠る時も一緒にいれる。

タオとAにとって
こんなにいいことはない。

TO「ここの窓、どっち向きぃ？」

「南向きです(^^)」

TO「夜、この辺は暗い？」

「住宅街ですから、夜間は暗いかもしれませんが…街灯もありますし」

TO「コンビニはぁ？」

「はい、ありますよ(^^)」

うん、なかなかいい条件！

TO「彼女と相談してみます(^^)」

案内してくれた不動産屋さんに
資料を貰ってその物件を出た。

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