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｢え！ やろうやろう！｣
なんて乗り気な副社長のおかげで、食事会は直ぐに開催された。
こういう時だけは爆速で仕事するんだな、なんて思いながら会場をクマさんと目指す。
｢スタッフ他にもくるし、気にしないで食べまくりなよ〜滝さんに払わせよ！｣
なんてクマさんは食べる気満々。
｢あ！ 茂木ちゃーん！ こっちだよ〜！｣
同じ部署の齋藤さんにそう言われて、少し足を早めてクマさんと向かう。
｢茂木ちゃん、お疲れ様！ 荷物持つよ？ 俺、席取っといたからさ、ほら、行こう？｣
最近やたらと話しかけてくる齋藤さん。
｢あ、荷物は自分で持ちます｣
なんとか荷物を取られることは死守して。
席は仕方ないので、着いて行って、極限まで離れて座る。
…もののめちゃめちゃ近づいてくる。
｢あ、すみません、御手洗行ってきますね｣
腰に手を回されそうになった時点でどうにか席を立って。
｢…キモすぎ。どうせ顔だろ、身体か？｣
会場の喧騒が遠くなったところでつい本音を漏らす。
｢なあ、あれ何？｣
1人だと思い込んでたこの場から声がして、聞かれたかも、なんて思ってビクビクしながら振り返る。
そこには、眉間にシワを作った岩本さんと阿部さんがいて。
｢あれ、珍しい組み合わせですね｣
｢…茂木さん、誤魔化しても多分無理だよ？｣
やっぱり？ なんて思って岩本さんを見るとさっきよりも険しい顔をしていて。
｢お前、誰にでもしっぽ振るんだな｣
なんて言って会場に戻って行ってしまう。
｢え、…あ、あの｣
私の戸惑いを含んだ声は宙に浮かんだまま残って。
唯一分かったのは、岩本さんの機嫌が悪くなったこと。
これに関しては、そのうち直ると思ってた。
分からなかったのは、何に対してあそこまで岩本さんが機嫌を損ねたのかということ。
｢…男心ってやつ？わかんないよ…｣
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作者名：なあちゃむ | 作成日時：2022年4月30日 0時
