みんな違って。（Hikaru.I） (ページ15)

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周りを見れば、印象と違ったのか呆然とするSnow Manのみなさん。

「あ、すみません…」

ふと我に返り謝るも、ノーリアクション。

いや、岩本さんだけは睨んでるな。

この人隠し事が本当に嫌いなんだな。

「Snow Man、ダンス講師なんだけど…って何この空気」

こんな空気を断ち切るかのように、部屋に救世主が入ってきた。

「ってか、なんで茂木もいるんだよ、修羅場？」

なんてニタニタ笑うこの救世主、改めて滝沢副社長。

「ダンス講師、ですか？」

自分達の話のため次々に副社長の話に反応するメンバーさんたち。

本当に真面目で、みんなで同じところ目指してるんだな。

「いや、新しく募集しようと思ったのよ。1人辞めちゃって。まあ、だけど…」

コイツをアシスタントにしようかと今思いついた。

なんて言葉と同時に副社長とガッツリ目が合って。

「……え、わ、たし、？」

嫌な予感が私を襲う。

「茂木、いや、村山A。アドバイザーくらいのレベルでいい。ダンス、やれ」

副社長命令だ、なんて切長な目が私を捕らえる。

「もう、ダンスや歌の世界には近付かないと決めたので」

「やれ」

「いきなりぽっと出の私がとか言ってもみなさん納得いかないでしょうし」

「踊って黙らせろ」

「男性と女性ですし」

「お前。逃げんのか」

「身を引いたこちらとしては、いくら副社長命令でも出来かねます」

「明日、この時間に上のスタジオで踊れ」

「いや、だから私は…！」

「コイツらが認めたら、やれ。嫌なら認めさせるな」

そう言って滝沢副社長は元来た道を戻って行って。

「村山Aって、めっちゃ出てくるじゃん」

「…ジェイ、ブルー、村山、A、って」

メンバーの皆さんに検索されてしまった。

「天下の村山Aが、元スタッフにマジギレ、現副社長に歯向かう、なんて良い記事書けそうだわ」

「アイドルなんて、とか言いながら職場アイドル事務所だしな」

「スクープレベルいけそうだから、発売楽しみにしとけな」

小城さんも部屋を出て行った。

取り残された私とSnow Manさんの間にはただひたすらに静寂が残っていて。

私のアイドル時代の曲が寂しく鳴り響いていた。