偶然鼎立。（Ryohei.A）#2 (ページ28)

今日:9 hit、昨日:15 hit、合計:47,437 hit

78 ページ28

・

「無理言ってごめんね。ありがとう」

そう言って微笑みかけられたらもうノックアウト。
心臓が痛いです。

「あ、ねえ。Aちゃんも買おうよ。どれがいい？」

「え！？いいです大丈夫です間に合ってます！」

よくわからないことを言われてテンパる私、

今日のお礼だから、待ってもらったし！なんて言いながらさっきの女性ものがたくさんあったコーナーへ向かうりょうさん。

「ねえ！ Aちゃん、どれ！？」

ちょっと困り顔になりながらも買う気満々のりょうさんの元へ向かい、再度いらないと告げる。

「俺が買ってあげたいの。このブランドの服着てるAちゃんを見たいの。でも、それは俺のわがままだから、だからせめて俺が買えば好きな系統じゃなくても後悔しないでしょ？」

そんなに全力で語るか、と言うほどに語ってくれるりょうさん。

「、、、折れます」

流石にこれはと思い、前回のダンスレッスンでは折れてくれたしと思って諦めることに。

「やった！どれがいい？」

値段見て選ぶの無しだからね！なんていう私の頭の中を見透かした言葉にヤケになって。

「好きなやつあったので、それでもいいですか？」

私の着たいやつを遠慮なく選ぶことにした。

どれ！これ？なんてキラキラして服を探してるりょうさん。

「りょうさん、こっち来てください」

声をかけて移動する。

「あれ、ここメンズゾーンだよ？」

りょうさんをメンズゾーンに連れてきた私。

「これ！これがいいです！」

お構いなしにりょうさんに一着のパーカーを差し出す私。なんてヤツなんだ。

「これ？メンズの？」

不思議そうにしているりょうさん。

私が選んだこのパーカーは、ダークブルーの生地に端切れをつなぎ合わせた感じの少しカラフルな面もあるけど、ブルーだけの落ち着いた面もある不思議なパーカー。

実は、レディースにも同じのがあった。

「メンズの大きさで緩く、彼パーカーコーデ、的、な」

「りょうさんのお好きなブランドでやれば、擬似りょうさんの彼女体験、的な、、、」

そう言うと、りょうさんはぽけーっとしていて。

あ、言い過ぎ。困らせた。

「あのっ、ごめんなさい、やっぱ全部なしです！」

「いや、俺こそごめんね。びっくりしたけど嬉しすぎただけ。これ買おうね」

ぎこちない空気が私たちの間に生まれた。