偶然鼎立。（Ryohei.A）#2 (ページ12)

今日:10 hit、昨日:15 hit、合計:47,438 hit

62 ページ12

・

御手洗いで、少し逆流してしんどかったけど、スッキリして。

そこではたと気付いた。

「歯ブラシと薬、持ってない」

しんどさが勝ってしまい、持ってくるのを忘れた気がする。

「やらかしたなあ」

そう思いながら、仕方ないのでりょうさんのいる個室へと戻る。

帰ってくるのを待っていてくれたのか、携帯を触って、ご飯を放置しているりょうさん。

「あ、おかえり。迷わなかった？」

「あ、ただいまです。大丈夫でした」

そんな短い会話をして、席につく。

そんな時に帰り道でお願いしておいたお水が届いて。

ありがとうございます、と受け取る。

薬飲みたいけど、気持ち悪いから歯を磨きたい。

その気持ちが勝ってしまい、りょうさんに少し打ち明けることにした。

「人酔い、しちゃって。お口の中さっぱりさせてきてもええですか？」

「え！？ごめんね、大丈夫！？」

あ、だから水？え、どうしたらいいんだ！？

おっちょこ阿部、というよりはパニックパニックなりょうさん。

「とりあえずっ！途中不安だから着いていく！」

「、、、へ？」

今はもうそんなにフラつかないんだけど、どうやらりょうさんの付き添い付きでの歯磨き大冒険が確定。

「ねえ、大丈夫！？気持ち悪かったりしない！？」

「あの、、、そんなに聞こえる声で言われると羞恥心が、、、」

「ええっ！？ああ！！ごめんね、、、」

「大丈夫ですよ」

御手洗いまで着くと、スッと壁に同化するりょうさん。

「待ってるから、ゆっくり行ってきて」

ちょっと困ったように眉を下げて、優しく笑った。