異世界から"運命の人"として召喚された運命にあらがう為、塔を登ります。 (ページ4)

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出会いのち別れページ4

意識が覚醒した時には、周りが岩に囲まれていて薄暗い場所にいた。

『ここ...どこ...？』

ゆっくりと上半身を起き上がらせ、周りを見渡す。
薄暗くて、光のささない場所、ここはどこなんだろう...。私はさっきまで家族でご飯を食べてて、弟がおかずを狙ってしつこくて、お母さんが笑ってて、そうだ、お父さんが...そのまま皆知らない人に、刺されて...。

『...っう、え...』

あの時の自分の状況を思い出すと、自分は今頃腹部を刺されたことによる出血多量で死んでいても可笑しくない。という事はここは、どこなんだろう。

あれは、夢だったのかな、それともこれが夢なの...？

そんな事を考えていると、後ろから声を掛けられた。

「そこで何をしてるの？」

金髪の優しい表情の女の子と、茶髪の不思議な雰囲気を持った男の子が立っていた。

「貴方！！血だらけじゃない！」

金髪の女の子が真っ青な表情をして駆け寄ってきてくれる。言われて自分を見てみれば、どうやら刺された時に着ていた格好のまま倒れていたらしい。傷口は塞がっていて、表面からは刺されたなんて分からないが金髪の女の子は心配そうに私の身体のあちこちを触り、傷口を探してくれている。

おおまかに外傷が無い事が分かったのか、彼女は少し安堵したような表情で少し体を離す。

「もう！こんな所で血だらけで倒れているからびっくりしたわ。私はラヘルよ。本当にけがをしている訳じゃないのよね...？」

『はい。心配してくださって、ありがとうございます。私はAって言います』

「ラヘルー！急に走るから、ビックリしたよ...。こんにちは、僕は二十五日の夜です。」

『ラヘルちゃんに、夜君、気に掛けて下さってありがとうございます...。あの、ひとつお聞きしたいのですが、いいですか...？』

「ラヘルでいいわよ、私もAの事、好きに呼ばせてもらうから。」

「僕の事も、夜って呼んでもらえると嬉しいな」

『分かりました...あの突然で申し訳ないのですが...これって夢、ですか？帰り、たいんです。駅とか、コンビニとか、何か近くにあれば教えてほしいんです。』

突拍子も無いこと聞いてる自覚はあるけれども、それでも聞かずには居られなかった。夢の住人に夢ですか？なんて聞いて、答えてくれるかも分からない。けど、それを考えられない位、今の私は疲弊していた。一瞬びっくりした表情を見せた後、ラヘルは私の手をぎゅっと握った。

「A、ここは現実だよ」