迷子 ページ1
noside
暗闇の中、キョロキョロと見渡す水色の目。
彼は、困ったように口を開く。
「何処や…ここ？」
そう言うと、何処からとも無く、赤黒い眼で、給仕服姿の少女が現れる。
気のせいか、少女の周りだけ、ほんの少し明るい気がした。
『あの…どうかなされましたか？』
少女は消えそうな声で水色に聞く。
「いや…何というか…迷子になってしもうて…」
恥ずかしそうに水色は答えるが、少女は特に気にする様子も無く、
『そうですか。何処へ戻りたいのですか？案内致します。』
更に水色に尋ねる。
水色は、少し不思議そうな顔をしながら、
「我々国の城下町なんやけど…すまんな。」
少女に対して詫びる。
少女は優しい声色で、
『いえ、大丈夫です。それでは、案内致しますので、着いてきて下さいませ。』
ただ、優しいのは声色だけで、顔は一切動かず無表情のままだった。
まるで――
とうの昔に凍てついたかのように。
そんな事は露知らず、水色は笑って
「俺はコネシマって言うで！宜しく！」
自らの名前を名乗る。
『コネシマ様ですね。ここからは少し複雑になりますのでしっかり着いてきてくださいませ。』
そう少女は言うと、右に曲がり、左に曲がり、またもや左、右…と、素早く、尚かつコネシマがついていけるように配慮しながら歩く。
そして、それを繰り返す事五分。
ふいに少女は足を止め、コネシマの方を向く。
『ここからは御自分でお願い致します。真っ直ぐ行けば、城下町に出られます。』
そういう彼女の瞳には、ただ、水色の瞳が映るだけだった。
「おう！ありがとうな！実は俺、幹部なんやけど…知っとったか？」
得意げに笑うコネシマに対して、少女は特に驚きもせずに
『いえ、初めて存じ上げました。』
すると、驚いたのか少し声を大きくし、
「知らんかったんか！？…まぁ、取り敢えず今度会ったら礼を尽くすで。」
と笑いかける。
少女は、静かに頷いて、
『それでは。お仲間が待っていますよ。』
そう言って、深く礼をした。
「それじゃあな！」
そう言って進んで行く彼の背中が見えなくなるまで、少女は頭を上げず、
コネシマの姿が見えなくなったら、静かに、誰にも聞こえないように、
『もう会わないことを願っています。』
と、呟く。
その言葉は、暗い暗いこの世界に、吸い込まれて消えていった。
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階梯(プロフ) - 紫音さん» ありがとうございます！終わりに何回か迷ってたんで、褒めて貰えて嬉しいです！お星様まで……ほんとにありがとうございます！ (2020年5月11日 14時) (
レス) id: 64ec12ca01 (このIDを非表示/違反報告)
紫音 - 夢小説って終わりを書くのが難しいですが、この作品は終わりがきっちりしてて面白かったです♪お星様一番右側を押しました！ (2020年5月11日 14時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
階梯(プロフ) - 天華さん» ありがとうございます！最近また見てくれている方が増えて嬉しいです！応援、ありがとうございます。 (2020年5月4日 16時) (レス) id: 64ec12ca01 (このIDを非表示/違反報告)
天華 - 完結おめでとうございます！！私は最近この作品を知ったのですが、面白かったです！これからも頑張って下さい！ (2020年5月4日 15時) (レス) id: 55b3851b74 (このIDを非表示/違反報告)
階梯(プロフ) - ふかさん» 読んでいただきありがとうございます！！！これからも頑張りますので、是非是非応援してやって下さい！！ (2020年1月18日 18時) (レス) id: 98e981bcd0 (このIDを非表示/違反報告)
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