8.逃走 ページ9
午前6時11分。
朝の日差しと共に目を覚ます。
いつも目覚ましをかけず、こんな感じに起きている。
なので、夏は起きるのがえらく早い。
今日は、学校がないので暇である。
大体そんな日は、さばとらを連れて遠くへ散歩にいく。
入学前のレポート？はて、何のことやら
さばとらは、俺の足元の方で寝ていた。
両手で抱き抱えてリビングへ向かい、餌を与える。
どうでもいいことだが、この猫を抱けるのは俺と父だけだ。
他の家族は何故か嫌がってしまう。
むしゃむしゃと食べている間に、俺も食パンを食べる。
じーっとうるうるした目で猫に見られるが、絶対にあげない。太ったら可哀想だからな
食べ終わると、専用のゲージに猫を入れ、リードなどと一緒に自転車に載せる。
玄関の鍵を閉め、山沿いの道を走っていった。
2、30分すると、渓流が見えてくる。
普段はここで遊ばせている。
「着いたよさばとらー」
リードをつけると、一目散に川の方へと向かう。
冷たい水に中に堂々と入っていき、泳いでいる。
たまに、小魚を捕まえてこちらに持ってきてはどや顔をしてくる。
だからといい持ち帰るわけではないので、そのまま川へリリースしている。
約、一時間ほど遊ばせると、満足したのか砂利の所でゴロゴロし始めた。
体を拭いて欲しいサインだ。
籠の中からタオルを取りだし、わしゃわしゃと雑に拭く。
そして、ゲージに入れようとするが、入りたがらない。
いつもあまり嫌がらないんだけどな…
「まだ遊びたいの？」
猫は荒れた山を見つめている。
時折こちらを見ては「ニャー」と鳴く。
「うーん…そっちに行きたいの？」
そういった途端、猫はその方向へと走り出した。
「げっ、止まってさばとら、速すぎだって！」
飼い主の言葉などに耳を傾けず、走り抜ける。
「はぁ…はぁ……」
ようやく走り終えると、そこには寂れた鳥居があった。
しかし、汚れたバリケードらしき物が置いてあり、通ることができない。
猫は、そちら側に行きたいようだ。
「そっちは行けないよ」
だが、無理矢理リードを引っ張られる。
「そんなことをしてもダメだって」
少し気を緩めた瞬間、リードが手から離れ、そのまま鳥居の奥へと走り去ってしまった。
「おいさばとら！バカなことを…」
置いていくわけにもいかないので、バリケードを何とか越えて道なりに追っていった。
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
