41.葡萄酒* ページ44
意味の分からぬ話を続けていると、ある一軒家の前に止まった。
周りの家々と比べると、一回りほど大きく見える。
「これが僕の家だよ」
『大きすぎません？いくら夫婦で住んでいるとしても･･･』
「まぁ、そうだね。二人で住んでいるならの話だけど」
･･･子どもがいたのか
いや、あの言い方は嫌な予感がする
何せ、互いに自分が上手に立っていないと気が済まない性格だからね
『何をする気ですか』
「君に尋問するだけだ。彼には手出ししないよ」
そう言って引き摺り下ろすと、普通に玄関から入っていった。
玄関は綺麗に整っており、花瓶にはヒヤシンスが飾ってある。
靴は収納されているのか、１つも出ていない。
「やっぱり人って重いよね。引き摺るのにも一苦労だよ」
リビングのドアを開け、そのまま入っていく。
黒いソファーに白いテーブル、４２インチのテレビ、寂しげな観葉植物。
そして、小さな仏壇が･･･
使った形跡が全くなく、生活感がない部屋である。
慣れたように西園の手足と口を縛ると、ワインサーバーからあるものを取り出した。
「シャトー・カロン・セギュール･･････２００５年物でね、ボルドーワインの当たり年の物だ」
ラベルにはハートのマークが書かれている。
『貴方って、そんなに酒飲みましたっけ』
「結構飲むよ。あと、このワインは思い出の品だからね」
高そうなワイングラスに注ぎ、色身を見ている。
「そこに妻の仏壇があるだろう？彼女に告白されたときに貰ったワインがこれなんだ」
『･･････』
「この家を買って３ヶ月で亡くなるとは思わなかったけど、良い妻であった。妻の分のローンがこれで完済できたし、あとは少し払うだけで完全に持ち家だ」
『こんな思考のやつが公務員だと思うと、寒気を通り越してもはや狂気だわ』
「君が褒めるとは珍しい。今宵は楽しめそうだ」
すると、後ろの方でバタバタと物音がする。
「･･･もう起きちゃったか」
ワインを飲み干すと、物音のする方へと向かう。
「そんなに暴れないでよ西園君。僕は彼女に用があるだけだ」
「――っ！――！！」
「分かった分かった、口だけは外してあげるよ」
噛ませていた太い縄を外すと、いきなり左腕に噛み付いた。
無理矢理突き飛ばし引き剥がしたが、くっきりと歯形が残り一部から血が滲み出ている。
「ははは、痛いじゃないか。興奮しちゃうよ･･･」
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
