39.二面性 ページ42
咄嗟に起き上がり、俺は彼に手を差し伸べた。
「本当に申し訳ない！い、今のは･･･その･･･人格が･･･」
「岸部さんが乗り移っていたんでしょう？･･･はははっ、話せてよかった･･･」
手を借りて起き上がると、彼はまた泣き出した。
「えっ？えぇそうなんですが、申し訳ない･･･」
「あの遺書の意味が解った気がするよ･･･それだけで十分だ」
「は、はぁ」
服の汚れを払い、切願するように俺の手を強く握った。
「お願いだ、彼女ともう一度話せないか」
「･･･だとよ岸辺、どうする」
俺の肩の上に堂々と座っている岸辺に話しかける。
『おやおや嬉しいですね』
「言っておくが、俺の意識を完全に飛ばすのは禁止だ。アレを呼び出して始末するからな。いや、さっきのことがあるから始末するけど」
『グラーシャ・ラボラスとか呼ぶ気？止めておきな。君の芸術センスは彼を借りても悪いと思う』
「そういうことでもないんだけどな」
『まぁまぁとりあえず、５分ぐらい貸してよ』
「どうせ１時間ぐらい話すんだろう？」
『あら、読み切られている･･･！サミジーナが何かやってるな！』
「さぁどうでしょう」
一人状況を把握できていない北村。
それもそのはず、彼には彼女の姿が見えていないから独り言にしか聞こえないのだ。
「･･･岸部さんと話しているのですか」
「あっ、えぇそうですよ」
「相変わらず不思議な子だな･･･君といい彼女といい･･･」
さっと風が二人を包み込む。
軽やかであるが、時より禍々しく、心を掻き立てるように。
この感覚、どこかで･･･
『ほほう、勘が鋭くてよろしゅうのう』
(なぁ、この感覚って蜂ヶ峰とお前が･･･)
『そうそう。あれは性魔術の類いであるが、これは白魔術と見た。どのタイミングで発現させた？ここまで感じ取れるということは、相当な準備をしているはず･･･』
(北村も魔術を扱えるのか？)
「魔術なんてとんでもない。私は少しおまじないを唱えただけです」
心を読まれた･･･！
でも、サミジーナとは違って不快な感覚はない。
『では、私の声も聞こえているな？いつからだ』
「葬儀の時からだ。君は西園君に向かって追えと言っていただろう」
『･･･貴方という人は、相も変わらず演技がお上手なもので』
「人のことは言えないでしょうよ？」
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
