38.情愛* ページ41
そう言って彼を睨み返した。
違う、なんだ今の言葉は、行動は
俺はそんなこと考えていない。発言していない。
でも、確かに俺の声だ。
(岸辺、お前何をした)
『ちょっと試してみただけよ。意外とすんなりできたな』
(だから何をしたんだ)
『ほんのちょっと君の意識を借りて喋ってみた』
どうしてこう空気の読めないやつなのか。
北村はこちらを訝っている。
「･･･どこかニシゾノさんと似ているんだよね」
「あら、そう見えます？そりゃそうでしょう、私は『西園』ですもの」
「おやおやご冗談を」
「何か勘違いしてません？私は『ニシゾノ恵未』ではなく『西園正輝』ですから」
「これまた奇遇だねぇ、ニシゾノさん」
お願いだから俺を借りてそんな発言しないでくれ･･･
煽ったところで何もないだろう？
「彼女は言っていましたよ。もう少し早く会えればあなたを殺せたのに、と」
「相変わらずヤンデレだな彼女は。なら『岸辺』さんに言っておいてくれ。もう少し時間をくれれば殺してあげたのに、と」
透明なカプセルを取り出し、そこに何やら粉を入れている。
「さぁ飲むといい、君が望むのは愛であろう？」
あぁもうやめてくれ、頼むから
ははは、楽しいや。君の意識を完全に寸断させてよ。
「面白いことを言いますね先生。なら私からも一つあげましょうか」
―その刹那、さっと手を伸ばし、彼の耳を思いっきり引っ張った。
彼の反射神経じゃ避けられないのは熟知している。だって、私は『ニシゾノ』だもの･･･！
よろけた隙に、軸足とは逆の左足を引っかけ、彼の肩に自分の体重を無理矢理かけて押し倒す。
「ははっ･･･その眼、その手口、その表情、まさしく『ニシゾノ』さんだね･･･」
「やはり男の体はいいね。スッと手が伸びるししなやかに動く」
「･･･彼に乗り移っているのかい？」
「いや、借りているだけだ。少し前まではこの身の大元が話していたけど」
「･･･返してあげなさい。これで満足だｒ･･････！？」
彼の言葉を遮るように、強引に口づけを交わす。
溺れるように、深く。
「あははっ！この身のままじゃゲイみたいですね先生！だけどそれもまた面白いからいいや」
所有権を『西園』に移す。
「･･･えっ、うおっ！？あっ･･･なんてことを･･････」
(岸辺、貴様何を･･･)
『ナニをしたんでしょうかねぇ･･･？』
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
