37.狂化 ページ40
「･･････そういえば、急いでいて聞き忘れていました。あなたは何者ですか？」
「あぁ、失礼しました。私、北村と申します。彼女の元担任です」
小さく一礼して、話を続ける。
「ニシ･･･岸部さんは、僕に突然死にますからと言って、線路に飛び込んだんだ」
「あぁ･･････」
さっき彼女から聞いたが、知らなかった振りをする。
歩き方が不自然なのはこのせいか。
そして、腰から脚にかけてギプスのようなものが埋まっていたのも･･･。
「その後、転校しちゃってね。動きは探っていたけど、またこうなるとは･･･」
ハンカチを取り出し、目頭を押さえる。
その時の彼は、先程までの彼とは別人のように見えた。
人間味のない者から、か弱い少女のように･･･
その豹変ぶりに、恐怖心が増す。
『貴方って泣くんですね。面白い、死んでよかったわ』
(なぁ、コイツは何者なんだ)
『さっき言っていたでしょう。私の元担任だと』
(それはそうなんだが、俺の本能が危機を感じている)
『私も感じている。ヤバそうになったら何とかするから』
「･･･彼女も色々と大変だったからね。もし、僕があの時手を差し伸べていたら、彼女はもう少し長く生きられたのかもしれない」
――そう言った途端、彼女の目が狂気に満ちた。
『こんなの時に英語の授業ですか。仮定法なんてもううんざりです。なぜ、私に大した思い入れがないのに、残された愚者いつもはそうやって、綺麗事を並べるのですか。なぜですか。私を殺したのはお前らだというのに、生きにくくしたのはお前らだというのにっ･･･!あぁ殺してやる。殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!こんなに可愛らしい子犬であるならば、あの時食べてしまえばよかったわ!!』
(落ち着け岸辺。狂化EXをこのタイミングで発現させるのはマズい)
『EXじゃなくてA-ぐらいだ。あと、別に狂気に満ちていないぞ』
「あの･･･大丈夫ですか？」
「はっ」
しまった。また彼女の方に意識を集中し過ぎた。
「申し訳ない。ちょっとまだ状況を把握できていなくて･･･」
「それが普通だよ。僕も把握できていないからね」
軽く笑うと、また彼から人間味が失われた。
「で、本題は何でしょうか？実を言うと、僕はあまり無為無聊な会話は好きじゃないんでね」
「おや、奇遇ですね。私もそういった会話は嫌いなんですよ」
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
