35.同名 ページ38
今のは何だったのだろうか。
あの人間味のないモノは……
『…あの人を追って』
(えっ？)
『とにかく追え！今すぐに！！』
さっきまで呆然としていた彼女とは思えないほどの早急さが緊張感を高める。
あそこまで彼女が真剣なんだ。何かしら面白いことがある
よし、追いかけてみようじゃないか。
ゆっくりと立ち上がり、周囲の人に礼をしながら申し訳なさそうに会場を後にした。
*
彼はすぐ近くにいた。
軽く走れば追い付くだろう。
『何をしている、早く追いかけろ』
ドンッ、と強く押された気がした。
思わず躓きそうになる
「っ！？お前なぁ･･･」
体勢を立て直し前を向くと、彼はこちらを不思議そうに見ていた。
「あ･･･いや･･･その･･････」
冷汗が額を伝わっていくのが感じられる。
「にしｚ･･･いや、岸辺さんのご友人さんかい？」
「えっ？あぁ、そんな感じです」
「･･･僕に何か用？もしや、岸辺さんの母親に追えと言われた？」
「いえいえ、そういうことでは･･･」
･･･なんて言えばいいんだ？
岸辺は理由も何も言わずに追えと･･･してやられたか？
『7月1*と言え』
(何の意味があるんだ？)
『言えばわかる』
そんな適当な･･･
「えーっと･･･7月1*日について何か知りませんか？」
彼の表情が一瞬にして消える。
そして、俺を睨みつける。
(おいおいどういうことだよ)
『死にはしないと思うから頑張って』
(お前、立場分かってるか？召喚者の言うことを聞かないのなら･･･)
『私は何も頼まれてないけど』
ああ言えばこう言う厄介な奴め。
「･･････彼女が言っていたのか」
「えっ？えぇ」
「――そうか、ニシゾノさんは忘れる気はなかったんだね」
ニシゾノ、そう確かに彼は言った。
何故俺の名前を知っているんだ？
待てよ、文脈的に俺の名が出るのはおかしい。
だとすれば･･････
「ニシゾノって･･･」
「あぁ、彼女の旧名だ。僕のすべてを変えてしまったんだよ」
悲壮に満ちた顔を浮かべる。
彼らに一体何があったのだろう。
肝心の岸辺は何も反応しない。
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
