20.裂目* ページ21
なんでこう次々と俺を困らせるのだろう。
あれが彼女の人格？具現化されたのか？
まぁ、夢の中だから何でもありといったらそれで終わりだが
『私は、彼女に造られたモノでしかない。純粋な本心を傷つけないために･･･』
「それで、人格が分かれたのか？」
『正確には分かれていないよ。見せないようにしているだけ』
手についた血を舐めながら『彼女』は言った。
『高校に入ってからは誰にも見せてないね。みんなが気に入るように演じていただけ』
「お前…そんな性格だったか？もっと丸かったと思うが」
『優しくしてほしいの？』
耳元で囁いたその声は、俺を誘っているようであった。
「いや、そういう訳じゃ…」
『まぁ、彼女がいる前ではしないけれど、どうしてもというならいいのよ？』
赤黒く染まった服をはだけさせ、右胸を露にさせる。
だが殆ど腐り果て、肉塊からは黒い虫が湧いていた。
俺の下腹部から、じんわりと熱さが込み上げてくる。
こういうもので興奮してしまうとはな…嫌な性癖だ
「もー！おねえちゃん、そういうことはしちゃダメって言ったでしょ！」
『彼が厭らしい目で見てきたのでつい』
悪びれた様子はない。
「彼氏以外にはしないって約束したでしょ！バカバカバカ！」
ポンポンと腰を叩いて攻撃しているつもりであるが、『彼女』は全く動じない。
…さりげなく彼氏がいることを自慢された、このリア充め
枝野は羨ましいな、こんな美女としているなんて
「…少年よ」
サミジーナがひょっこりと顔を出す。
「どうした？」
「そろそろ時間です」
空にヒビが入っていき、割れ目からは墨汁のような黒い液体が流れ込んできていた。
『あら、もうおしまい？』
微笑みながら空を見つめる。
『サミジーナ、現実でちゃんと彼に教えてあげなよ？お香は焚いてあげるからさ』
「…今回だけですよ」
崩れゆく世界の中、彼女らのどこか寂しげな表情が目に写った。
＊
『…汝の欲することを為せ、さすればそれが法の全てと成らん』
暗く、何もない世界で『彼女』は呟いた。
「どういう意味なの？」
『真の意思を見つけて、それに従って生きること。それが非道徳であろうとも構わない』
「ふーん、変なの」
呆れた彼女を見て、少し口角を上げた。
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
