18.処女* ページ19
「ま、待てよ。殺すのはよくないだろ」
『よく言えたものだな。お前は立派な人殺しだというのに』
俺が、人殺し？
夢と現実も理解できてないのか
『すました顔でいられるのも今のうちさ。サミジーナよ、例の女を連れてこい』
サミジーナは、また影から人らしきものを作り出した。
それは、さっき夢で出会ったあの幼女であった。
セミロングほどの髪の長さで、色は黒曜石のように透き通った黒であった。
目は深い藍色を放っている。
「あれ、おんなじ人がふたりいる･･･？」
幼女はキョロキョロと二人を見合っている。
『･･･可愛らしい子だね。死んでしまうとは勿体無い』
その子を抱き上げると、持っていたナイフを頸元へ近づけた。
「やめろ…！殺すなら俺にしろ」
『君が死んだら俺も消えてしまうから嫌だね』
幼女は怯えている。
「怖いよぉ…おねえちゃん…」
『コイツ、姉がいるのか。まぁいい、すぐに会わせてやるよ…処女の湖でな』
目線は血の池を向いている。
処女の湖なんて趣味が悪いものを造りやがって…
…この池が出来た理由は何となく分かっていた。
俺が病みに病んでいたときに、やけくそになってあんなことを願ってしまったからだ。
俺の性癖はあまり言えるものではない。夢の『俺』のように猟奇的なものが好きだ…ということだけ言っておこう。
『お前、この女誰だか分かるよな？』
「えっ」
次の言葉に、俺は耳を疑った。
『分からないのか？幼い岸辺だよ』
「嘘…だろ」
彼女の特徴の一つであるオッドアイがないけれど、言われてみれば似てなくもない。
『お前は現実でこの岸辺を殺した。そうだろう？』
「そんなことしていない！」
『死体を見て逃げたじゃないか…同罪だよ』
違う、あれは岸辺達じゃない。
岸辺が心中しただなんて思っていない。
あの死体は別の誰かだろ、そうさ、絶対に。
『死体を見て直感的に岸辺達だと思ったのは何処のどいつだか』
彼女に向けて歯を下ろしかけたその刹那――
『俺』は、ナイフを落とした。
左の下腹部からは、剣先の様なものが見えている。
『き…聞いてないぞサミジーナ…。貴様…紋章を切り刻まれたいかっ…！』
サミジーナは知らん顔をしている。
すると、『俺』の後ろから低い女の声が響いた。
『お前こそ切り刻んでやろうか西園…。彼女に手出しはさせない…！』
剣を引き抜いた後、『俺』の右太股目掛け切り裂いた。
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
