16.召喚* ページ17
「これは、現実なのか？」
外はまだ夕日が出ている。
幼女は首を横に振り、こう言った。
「ここはあなたの描いた夢の世界だよ」
「ゆめ？」
「そう、将来叶えたい『夢』ではなく、眠るときに見る『夢』なの」
なんだ、夢か。
随分と物騒な夢だったな。
「どうせ来たんだから、外を見ていかない？」
「え？あぁ…そうするか」
起こりゆく不思議な出来事に戸惑いながらも、彼女へと付いていった。
彼女の代わりに体育館の扉を開くと、そこには端が見えぬほど大きな池があった。
夕陽のせいか、赤々と輝いている。
「綺麗だね」
「そう見える？これは水じゃなくて人々の血が造り出した溜め池だよ」
「…そんなわけないだろ」
池にある赤い液体を掬い上げる。
手に吸い付くように貼り付き、明らかに水と感触が違った。
臭いを嗅いでみると、独特の鉄臭さを放っていた。
「ね、血でしょ？」
「……うん」
「これはあなたが望んだものなんだよ」
「望んだ？そんな記憶はないが」
「『俺を汚したものが血に染まりますように』って高1の時に。どんどん染めていくものだから池みたいになっちゃったの」
あり得ない、馬鹿馬鹿しい。
「君は覚えてないかもしれない。けど、君の願望は全てここで叶えられてるの」
彼女が池に手を入れる。
そして、中からあるものを引きずり出した。
「これ、あなたが過去に付き合ってた彼女」
「…っ！？」
赤黒く染められた肉体は、所々欠損している。
眼は剥き出しになっており、口から血を噴水のように吐き出していた。
「い…生きているのか？」
「死んでいるけど、君のために役目を果たしているんだよ。『生ける死屍』と呼ぶべきか。でも、こうしたのも全部君だ」
「お、幼い容姿のわりには怖いことを言うね…」
すると、幼女はにたりと笑った。
「容姿は幼いかもしれない。だけどね、私は…」
徐々に声が老父のように嗄れ、姿も驢馬のように変貌していった。
「――私は、ソロモン72柱の1柱、地獄の侯爵サミジーナであるからだ」
「…へ？」
な、なにそれ？
というか、普通驢馬が喋るか？
「あぁ、喋るとも少年。姿は驢馬だが、私は悪魔だ」
「心を読みやがった…！？」
「…口が悪いぞ少年。何度も君の願いを叶えてあげたというのに。しかし、儀式をせずに召喚出来る程に凄い御方であるのは確かであるが」
「俺が…召喚しただと？」
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茄子2(プロフ) - 奏葉@TRPG廃さん» 応援ありがとうございます。是非、これからもお読みになっていただけると嬉しいです。 (2016年9月7日 16時) (
レス) id: 227a07cc88 (このIDを非表示/違反報告)
奏葉@TRPG廃(プロフ) - せ、世界観や文章、登場人物のぐじゃぐじゃな心情とか…もう、凄い素敵でした…！本屋さんにある小説くらい迫力があって一気に読み進めてしまいました。更新、是非頑張って下さい！陰ながら応援させて頂きます。 (2016年9月6日 17時) (レス) id: 3ff4ffe414 (このIDを非表示/違反報告)
茄子2(プロフ) - 霧憑 幻さん» ご指摘ありがとうございます。修正しました。 (2016年5月5日 22時) (レス) id: 45bd06207d (このIDを非表示/違反報告)
霧憑 幻(プロフ) - ページ2のほうで、「彼とうまくいってないのかな」でしょうか？「ないなかな」になってます (2016年5月5日 21時) (レス) id: a919ed2021 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：茄子2 | 作成日時：2016年4月22日 20時
