体質32 ページ32
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痛い。痛みが収まらない。
結局、国語の授業を休み、次の体育の授業も休んでいる。
急にカーテンを開けられ目を向けると、養護教諭の女性の先生が立っていた。
「鈴森さん、大丈夫……?」
「……大丈夫じゃない、です……」
辛すぎて、か細い声しか出なかった。
こんなに痛くなるなんて予想もしてなかったから薬も持ってきてないし。
先生が気まずそうに"そうよね……"と呟く。
「……辛そうだし、今日はもう早退する?」
その問いに、こくん、と頷く。
「分かったわ。じゃあ担任の先生に連絡するから待っててね。」
先生は優しく微笑むとカーテンを一度締めてベッドから離れた。
何を話してるかは聞こえないけど。
ガチャ、と電話を切る音が聞こえれば、また此方へと足音が聞こえ、カーテンを開けられる。
「鈴森さん、今家に誰かいる?」
首を横に振れば、先生は少し考えるような表情をする。
「そうなると……一人で歩いて帰ることになるけど、大丈夫?」
……あー、そっか。
一人で帰らなきゃ、いけないよね。
車で家まで送ってくれるなんて、そんな甘ったるいこと考えちゃだめだよね。
「……はい、大丈夫です。」
「そう……気をつけてね?」
先生は申し訳なさそうな顔をしながらそう言った。
先生が"今椋木先生が荷物を持ってきてるから、もう少し横になってていいわよ。"と付け足す。
椋木先生が?
……あ、そっか。体育で誰も居ないから椋木先生が荷物を詰めたりしてくれてるんだ。
申し訳ないなぁ……ごめんなさい、椋木先生。
暫く横になっていると、保健室の扉が開く音が聞こえた。
「鈴森さんの荷物持ってきました。……鈴森さんは?」
「あ、椋木先生。鈴森さんは今こちらで休んでますよ。」
どうやら椋木先生が来たみたいだ。
カーテンを開かれ目を向ければ、心配そうな顔をした椋木先生が私の荷物を持って立っていた。
「鈴森さん、大丈夫?」
これが大丈夫そうに見えるんですか。
そんな冗談も言える余裕なんて無く、ただ首を横に振った。
「そう……気をつけて帰るんだよ?」
椋木先生から荷物を受け取り、保健室の勝手口から椋木先生が持ってきた私のローファーを履いて外へと出る。
お腹が痛いけれど、頑張って帰らなきゃ。
二人の先生にお礼を言って私は帰路を歩いた。
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ぽちこ(プロフ) - あの話はかなり初期の頃だった記憶があります(西森先生の描き方が)相良君との絡みも楽しみにしています(^^) (2019年1月24日 20時) (携帯から) (レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - ぽちこさん» コメントありがとうございます!強盗の回は本当にお気に入りで、どう絡ませようか悩むことが楽しかったです(*´∀`笑) もう少しでパート2に移行しますが、続編でもどうぞよろしくお願いします(*^_^*) (2019年1月24日 13時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - はじめまして。楽しく読ませていただいてます(^^)
強盗のくだりは原作で読みましたが面白いですよね。
お話の更新をお待ちしております(^_^)v (2019年1月22日 23時) (携帯から) (レス) id: 1eeed30fc4 (このIDを非表示/違反報告)
クソすぎる駄作者(プロフ) - なしはさん» カッパが似すぎてて面白いですよねw頑張ってください! (2019年1月15日 3時) (レス) id: 2effaca00b (このIDを非表示/違反報告)
なしは(プロフ) - クソすぎる駄作者さん» コメントありがとうございます!そうなんです、強盗の話は伊藤が少し可哀想なのが面白くてお気に入りなので、書いてみました(*^^*)応援ありがとうございます、更新頑張ります! (2019年1月14日 21時) (レス) id: 7e481143a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なしは | 作成日時:2018年12月7日 22時