もう少しだけ貴方と…【文スト】

＊ ページ14

涙で字が滲む。
視界が霞んでいく。

落ち着いてもう一度読み始める。

君の名前はA。
Aちゃん って、呼びたかった。

僕も君の事知りたかった。
名前は？何処から来てるの？何で死にたいの？

僕等は

友達でも、
恋人でも、
何でも無かった。

只の他人だった。だから、何も知ろうとしなかった。


カタクリの花、か…
花言葉は良く分からない。
乱歩さんに聞けば分かるかな？


手紙と花を持ってビルを後にする。

雨が降り出した。僕の心を表す様に。




ーーーーーーーー

カラッと晴れた空。白い雲。

ビルの屋上で花を供える。

朝顔やコリウス、薔薇、そしてカタクリ。

「久しぶり。会いに来たよ、Aちゃん。
僕も君の事好きだッたよ。もう叶わないけれど、ね」
ゆっくりと手を合わせる。

もう、この恋は叶わないと分かっていても君に愛の言葉を囁く。

「Aちゃん。愛してる。また、来るね。」


花言葉

朝顔…儚い恋
コリウス…叶わぬ恋
カタクリ…初恋、寂しさに耐える

心の傷 （織田作之助）→←寂しさに耐える （谷崎潤一郎）

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