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心の傷 (織田作之助) ページ15

辛かった。


最初は其れだけだった。
痛みと流れる血を見て、全てを忘れようと思っただけだった。

手首、二の腕、太腿、お腹…
今日も無意識に続ける。

もう、何の為にしているのか分からない。

死ぬ勇気がないから?
苦しさを紛らわせるため?

『分かんないよ…助けて…』

絞り出す様に出て来た言葉は誰にも受け入れられる事無く部屋を彷徨う。

切った後片付けをする。
包帯を巻いていく。
私は結構傷を直ぐ付けて仕舞うから、この位の包帯を巻いていても変に思われれない。

仕事に行かなきゃ。
家を出てマフィアのビルへと足を向ける。

自分で付けた傷だけど、此の傷を織田作に見られたくない。
何となくだけど…
取り分け、恋愛感情を抱いている 訳では無い。彼の痛そうな顔が嫌だからだ。少し顔を顰める、あの顔が。

ビルの廊下を歩く。
何人かの黒服に挨拶をして行く。特に行く場所はないけど。
また、挨拶しようと顔を上げる。織田作だ…

『あ、こんにちは。』

其の儘立ち去ろうとしたが、彼から手を引かれて進めなかった。

『えっと…如何しました?』

其の時、パッと服の袖を捲られ痛々しい傷跡と包帯が見えた。

『っあ、えっと…此れは、」
「自分で付けたのだろう」

気付かれた。

「何故している。答えられるなら、…でいいが」
『辛いの…苦しいの…分かん無いし、何となくだけど。それで、気がついたらこんな風に傷を付けてしまって…』

多分、此れが本音だと思う。本当かどうか分からないから信じて欲しく無い。

「…そうか。お前が死のうとしないだけ良かった。」
『えっ…』

何で、何で怒んないの?罵らないの?こんな事してるんだよ、私。

「今迄、辛かったな。無理に止めろとは言えないが、止めたいなら力になってやる。一先ず、其の処置の仕方では痕が残って仕舞う。医務室に向かうか。腕以外にもしているのだろう?」
『うっ、あぁ…御免為さい…御免、な、さい…』
「もう、泣くな。お前一人が悪い訳では無いからな。後でゆっくり話を聞いても良いか?」

私は静かに頷いた。彼にだったら全て話しても良いだろう。そう、思ったからだ。


ーーーーーーー

今ではもう自傷なんてしていない。あの後、織田作に凄い顔で 止めてくれ って言われたからね。それで、気付いた。あぁ矢ッ張り私は織田作の事好きなんだ。



彼は気付いてくれているのかな?もう少しだけ此の儘でも良いけどね。

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加奈 - 身動きがとれない。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 誰か、私を愛して欲しい。退屈だから。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 太宰さんを異能で大人しくさせて抱き締めるぞ? (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 太宰さんの事大チュキです。多分。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - キスして欲しいの? (2020年6月4日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねこの耳 | 作成日時:2020年1月11日 20時

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