逆チョコ(太宰治) ページ11
「ねぇ、A今日はバレンタインなのだよ。今日だけで良いから目を覚ましてくれないかい…?」
真っ白な病室で彼は話す。
「君がチョコをくれ無くても、私が君にあげるから心配しなくて大丈夫だよ…。
本当は君から欲しかったけどね。はいどうぞ、チョコだよ。」
そう言って彼は綺麗に包まれた箱を差し出す。
「でも、君が起きる頃にはバレンタインは過ぎてるだろうねぇ…ホワイトデーにお返しをくれたら……」
そっと彼女の髪を解きながら何かを耳元で囁く。
「自分で言った事なのに、如何して顔を赤くしちゃうかな?」
彼の顔は真っ赤だった。
「ねぇ、A〜!此のチョコ一個貰って良い?」
そう尋ねても何の返事も返ってこない。
それでも彼は
「リボンを解くだけだから、ね?」
スルリと綺麗な手付きでリボンを解く。箱を開け、中身を覗いて又、閉める。
「此のチョコだけ君の嫌いなチョコだね。って事は私が貰っても良いって事でしょ?」
そう言って彼はパクッと綺麗な細工をしたチョコを食べた。
「目覚めた時に君は頭の中が疑問符で埋め尽くされるだろうねぇ…。ふふふっ、その時の顔を見てみたいよ」
そう言って箱に結ばれていたリボンをサッと結び直してサラサラな彼女の髪に付けた。
「うん!似合ってるよAちゃん!白い病室にピンクのリボンが良く映えているよ。寝ている君も可愛いねえ。」
ゆっくり彼女の頬に口付けをする。
「目が覚めたら、
先刻した約束
忘れ無いでよ…
ちゃんとチョコ頂戴ね!
A、死んだら許さないからね」
愉快そうに帰って行く彼は静かに涙を流していた。
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加奈 - 身動きがとれない。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 誰か、私を愛して欲しい。退屈だから。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 太宰さんを異能で大人しくさせて抱き締めるぞ? (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - 太宰さんの事大チュキです。多分。 (2020年6月4日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
加奈 - キスして欲しいの? (2020年6月4日 13時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ねこの耳 | 作成日時:2020年1月11日 20時