ルームシェア【志麻】 (ページ39)

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結局、〈運命の人発見プロジェクト〉の1回目のデートは、志麻の行きたいところに志麻の決めたルールで行くはずだったのに、なぜか私の行きたいところに行くことになった。

私たちは公園をあとにしていったん家に戻った。
そして志麻の希望で、1ヵ月前にできたばかりの大型インテリアショップへと向かった。

電車に1時間くらい乗り、私たちはそのインテリアショップに着いた。
そこはショップ全部を見るのに歩いて2時間くらいかかるほどの広さだった。

店内は家具がただ置いてあるだけでなく、イメージがわきやすいように、飾り気のないシンプルなものを取りそろえた部屋、竹や麻などの自然素材でまとめられたアジアンスタイルの部屋、スタイリッシュな印象のモダンスタイルの部屋、実用性に富んだデザインでまとめられた北欧スタイルの部屋など、さまざまなカテゴリーに分けて展示されていた。
でも、私のより素敵な雰囲気の部屋はひとつもなく、私は、やはりあの部屋は特別なのだと再認識していた。

私は志麻に負けた悔しさを晴らしながら、そして品物をじっくり見定めながら店内を歩いた。

誰かと一緒に出かけると、多かれ少なかれ気を遣うことになる。
それが嫌なわけではないが、誰かと買い物に出かけたくない理由の1つでもあった。

でも今日、志麻と初めて買い物に出かけてわかった。
志麻にはまったく気を遣ってないということに。

それは志麻が持っている特別な雰囲気が私にそう感じさせた、という爽やかな理由ではなく、買い物のあいだ、志麻がどこかに消えてしまっていたからだ。

かなり長いあいだ店にいたが、志麻が私の横にいた時間はなかったに等しいくらい短かった。
よって、気を遣おうにも遣えなかったのだ。

志麻が私の前に再び現れたのは、計ったかのように、私がこれを買おうと決めたときだった。
そして、志麻に荷物を持ってもらいショップをあとにし、家の近くのスーパーで買い物をして、部屋へと戻った。

いままでの初デートのときに経験してきた心躍るようなドキドキ感は、まったく感じなかった。

その理由は考えなくてもすぐにわかった。
相手が志麻だからだ。

その夜、志麻は私の作ったパスタを美味しそうに食べてくれた。
悲しいかな、志麻に教えてもらった、男が喜ぶ料理のひとつだ。

それよりも、バスケをしたりインテリアショップを長い時間歩いたりしたせいで、かなり疲れてしまった。
この様子だと明日は筋肉痛だろうし、今日は思いきり眠ることにしよう。