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特別。 ページ6

「ねねAちゃん、万世極楽教に興味ない?」


気色悪いほどの満面の笑みを貼り付けて、そう問いてくる上弦の弍。



興味ありなし以前に、まず知らない。それが顔に出ていたのか、童磨は「万世極楽教っていうのはね」と、話を続けた。



「穏やかな気持ちで生きる方法を教えてくれて、辛い事や苦しい事はしなくて良い、必要ないんだぜ」



ほら興味湧いてきた?と虹色の瞳が訴えてくるが、全く持って、興味の「き」の字も湧いてこない。



「……遠慮しておきます」


そう返事をする私に、童磨はまた何か言いたげな表情を浮かべるが、その前に無惨様が口を開いた。



「童磨」


無惨様が彼の名を口にすると、童磨は頰を赤く染めた。その顔には喜びが満ちている。


だめだ。この鬼…危険人物だ。本能が童磨をそう捉える。



「もう貴様に用はない」



言うと、鳴女が琵琶を鳴らす。


童磨が座っていた場所だけが襖に変わり、強制的に外に出された。

彼がいなくなり、張り詰めていた緊張が解け、心なしか少し安堵する。やはり上弦。彼を囲む空気は、下級の鬼とは別格であった。



天井を見上げると、無惨様と視線が交わる。



その途端、童磨と同様、自分のいる場所が琵琶の音と共に襖に変わり体が浮いた。反射的に目を瞑る。



とその瞬間、冷たい温もりが私を包み込み、ふわっと無惨様の香りが鼻を掠めた。



「…無惨様」


なんの感情も読み取れない紅梅色の瞳に自分が映る。



「少しじっとしていろ」



膝裏に無惨様の白い腕が回り、私を引き寄せ、抱きかかえた。抵抗する理由も特にないので、されるがままに無惨様の胸板に頰を寄せ、腕を首に回す。







ビンッと琵琶の音が響き、その途端、視界の色が変わった。







特別。









(無惨様にとって私が特別なのと同じように、私にとっても無惨様は特別である)

下弦の鬼→←特別。



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Moon - 初めまして、読ませて頂きました。めちゃくちゃいい小説ですね。続きが気になりますね (2022年10月7日 10時) (レス) @page7 id: 9eb0a598a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゴマ団子(プロフ) - わああああすごくいいところ(;▽;)更新楽しみに待ってます(;▽;) (2020年4月7日 3時) (レス) id: 9ede5b6f69 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 鬼滅の刃は、最近までにわか読者だったのですが、親友から進められてアニメを一気見した次第です。第2クールまで放送していたので驚きました。マンガを買いたいです。(笑) (2019年11月24日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
蒼葉(プロフ) - ベルモットさん» 無惨様の女装やばいですよね泣。もうあの理不尽な所さえも愛おしいです()関係性などに関してはこれから明らかにしていきますね!コメントありがとうございました! (2019年11月24日 12時) (レス) id: ed48d443d9 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 拝読させて頂きました。無惨の女装をアニメで見て一気ファンになってしまったベルモットです。夢主と無惨の関係性や肉体的な関係性も知りたいですね。 (2019年11月24日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蒼葉 | 作成日時:2019年11月23日 23時

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