赤薔薇の蕾がつく頃に (ページ26)

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26 嶺亜side ページ26

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嶺亜side

……これ、俺完全に忘れ去られてるよね…？

仲良さげな2人を見て、悲しいような、怒りのような、嫉妬のような、なんとも言えない気持ちになる。

耐えきれず

「2人とも仲良いんだね」

なんて話しかけると浮所くんに

「19年の付き合いなんです！」

と言われてしまい完全に墓穴を掘った。

『あの………な、中村さんは幼なじみとかいらっしゃるんですか？』

「…俺？」

気をつかってくれたであろうAちゃん。

なんとなく心苦しくなる。

「いるけど男だし、たまに会うくらいで2人みたいにすげぇ仲良いってわけじゃないよ」

「やっぱ俺ら仲良いんだ」

『うん、まあ普通よりは仲良いんじゃない？家族みたいなもんだし。』

「…そうだよな！」

俺は「家族」と言われた浮所くんの顔が一瞬曇ったのを見逃さなかった。

そうだろうなって思ってたけど、やっぱり、浮所くんはAちゃんのこと好きなんだよな…

きっとAちゃんは浮所くんにアタックされたら浮所くんのことを好きになってしまう。もしかしたら、もう好きかもしれない。

たまに、ちょっとだけ、Aちゃん俺のこと好きなのかな？って思う時はあった。

けど、なんだ、勝ち目ないじゃん。

俺は現れ始めていたAちゃんへの気持ちに、そっと蓋をした。

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