48.ごめん ページ1
『────御国、とだけ言っておくね』
「…み、くに…」
御国さん、というその人の名前を無意識に呟く。
────この時はまだ気づいていなかった。
────御国さんが、既に私の心の中にすんなりと入り込んでいたことに。
何ともいえない気持ちで枕に顔を埋めていると、急に胸が痛くなる。
…なんだかもう、潰れそうだ。
ぎゅっと枕を握り込んだ時だった。
「Aっ…‼」
がらっと部屋の扉が開いて、思わず肩を揺らす。
だけど聞こえた声にはっと目を向けると、そこには息を切らした真昼が立っていた。
「…ま、ひる」
思わず起き上がろうとして傷が痛み、倒れようとしたところを真昼に支えられる。
そしてそのまま、何も言わずに抱きしめられた。
今までにない程強く、きつく。
「っ…いっ…たい、真昼」
思わず顔をしかめると、慌てて離れる真昼。
「！ごめん！…大丈夫か？傷…痛むよな」
でも私の顔を見ると一瞬泣きそうな顔をして今度は優しく、壊れ物を扱うように抱きしめる。
「っ…‼」
「…怖かったよな。辛かったよな」
耳元で真昼の声がする。
「助けに行けなくて、本当にごめん」
いつもは自信に溢れたその声が、今は震えていた。
「…ま、ひる」
背中に手を回すと、ぎゅ、とさらに力を込められて。
「────もう、1人になんてしないからな
…無事で、よかった」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
その言葉が、ずっと張り詰めていた私の何かを切った。
「…ふっ、…ふぇっ…つぁぁっ」
「A…」
後頭部を胸に優しく押し付けられる。
「…我慢、してたんだな」
優しく頭を撫でられたら、私の涙はもう止まらなかった。
色々な思いが溢れてきて、真昼の胸の中で幼子のように泣きじゃくる。
「まひるっ…ふえっ、こわ、かったっ…」
「…うん。落ち着くまで泣いていいからな。
俺はここにいるよ」
傷が痛むのも気にしないで真昼にすがりついた。
だけどこうして真昼に抱きしめられて。
心を許しきった人の前で泣いて。
笑って。
怒って。
幸せだと思えるのは。
────これが、最後になった。
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重岡ゆう毅(プロフ) - 続きが気になります、！！大変だとは思いますが、更新待ってます！！ (2018年11月19日 2時) (
レス) id: 18e1e6c35b (このIDを非表示/違反報告)
ふうか(プロフ) - すごく内容に引き込まれます…！これからも応援しています！頑張ってください！ (2018年6月5日 2時) (レス) id: 8efdf1c9c8 (このIDを非表示/違反報告)
小雪 - 夢主ちゃんの過去…もう予想がついてきました！更新頑張ってください！応援しています！夢主ちゃん羨ましい！ (2018年4月4日 21時) (レス) id: 3b39f94354 (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 博多の塩さん» コメント並びにお気遣いありがとうございます…夢主ちゃんの過去にもこれからどんどん触れていくので、読んでいただけたら嬉しいです！よろしくお願いします！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: be0310918f (このIDを非表示/違反報告)
いお(プロフ) - 小雪さん» コメントありがとうございます！ご感想嬉しいです…更新頑張りますので、お待ちいただけたら幸いです！これからも読んでいただけたら嬉しいです、よろしくお願いします！ (2018年4月4日 20時) (レス) id: be0310918f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いおり | 作成日時：2018年4月3日 21時
