第３１話 ページ33
可愛らしい、しかし攻撃力のある悪戯がAを襲ってようやく一ヶ月後。
「これより１０名の本選試合を始めたいと思います！」
試験が、開始した。
最初はナルトとネジの試合。残りのAたちは控え室へと向かった。
『俺の番まで長いからな。…また寝るか』
…この場には、悪戯好きなあの二匹はいないしな。
Aは腹と額をさすると、目を閉じた。
・
「おいA！」
『……何だ』
「"何だ"じゃねえよ。次、お前の出番だぞ」
シカマルがAの肩を揺らしてそう言った。
下を見れば確かにドスは既にフィールドに降りている。
『……そんなに寝てたか？…まあいい』
「早く降りてこい！」
審判の声が響くと同時に、Aは柵を飛び越え、降りた。
『…待たせたな』
「怖気付いたのかと思ったよ」
『まさか』
危なげなく着地し、ドスと対峙する。
『……』
藍色の瞳が彼を映した瞬間、Aは確信した。
「では、始め！」
・
「ねえ痛いの嫌いかい？」
始まって早々、ドスはAにそう言った。どうやらAを舐めているらしい。目元が笑っている。
「予選の時相手にそう訊くぐらい自信があったみたいだけど、残念ながら今回は僕が訊かせてもらうよ」
『…ほお？俺に勝てる策でもあるのか』
「策というか、単純に実力差だよ。…で、棄権するかい？」
『……ほざけ』
ドスは完全にAを挑発している。冷静さを無くさせるためか、単にそれだけの実力があるか。
『……いや、後者は』
「その選択、間違えた事を教えてあげるよ！」
そう呟いた瞬間、ドスが動き出した。
大振りで殴りかかるドス。それを難なく避けたAだったが、突如眩暈がした。
(…耳が)
Aは左耳を手で押さえる。成る程、音忍らしい攻撃だ。
「ははは、君、予選の僕の試合見てなかったね？そんな単純な攻撃に当たっちゃうなんて」
『……』
笑いを耐えるのに苦労した。
ああ、なんて愚かなんだろう。
確かにこの男の試合なんて見ていないし、どんな攻撃をするか知らなかった。
だが、この男こそ、Aの事をわかっていない。
『…〈いやしのはどう〉』
Aはそう呟いて耳を治す。
この程度なら、治すのは一瞬だ。
『……安心しろ』
「え？」
ドスは首を傾げる。…どうしてこの男はこんなにも冷静なんだ？優勢なのはこっちだというのに。
彼はまだ知らない。
『お前にも、ちゃんと攻撃を当ててやるから』
ーーそれが間違いだと。
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海歌 - 今度、主人公の妹も入れた小説作ってもいいですか？ (2017年2月6日 15時) (
レス) id: 9e7081a8f5 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのポケもん好き - びっくりするくらい面白い (2016年12月23日 21時) (レス) id: d81526141d (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - 続き待ってました!!これからも頑張ってください!! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
キヌカ - この小説大好きです！【眠れる獅子】が気になります。頑張って下さい！ (2016年6月21日 9時) (レス) id: 0257f3d498 (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - めっちゃくちゃ面白いです!!続き期待してます!! (2016年6月18日 20時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白蛇 | 作成日時：2016年3月12日 20時
