第2話 ページ4
アカデミーの卒業試験は既に終わっていた。つまり今からアカデミーに入っても卒業は出来ず、忍者になる最終試験も受けられない。…たが、火影は特別にAに試験を受けさせる事を許した。
家族を失った子供だ。少しくらいは優遇してやってもバチは当たるまい、と思ったのだ。
火影と二人の上忍の前にAが立つ。
「今回の試験は、分身の術。最低三人分身出来たら合格じゃ」
『……』
Aは心の中で思った。…こんなに簡単なものでいいのか、と。
『……〈かげぶんしん〉』
Aが誰にも聞こえないくらいの小さな声でそう言うとーー
「な…っ!」
火影たちが驚くのも無理はない。彼は確かに分身してみせた。
その数、およそ十人。合格人数の三倍以上の分身を出したのだ。
『…これでいいのか』
「あ、ああ」
一人の上忍がそう言うと、Aは机に置いてある額当てを手に取り、部屋から出て行った。
静まり返った部屋。
「……火影さま」
「うむ。…あれは影分身の術…。ナルトのように封印の書を見た訳でもなく、会得しているのか」
火影は頭を抱える。
Aが一体、この里にどのような影響を与えるのか、火影には全く予測できなかった。
・
試験から数日後。
説明会では、大勢の子供が盛り上がっていた。
そんな子供たちの遠くに座る、Aの姿もそこにあった。
「…ねえねえ、あの男の子、誰だろうね」
「さぁ…、アカデミーでは見なかったけど…」
「だよねー…。でも、」
「「イケメンだよねー!」」
突然部屋に響くイケメン、という言葉。それはAに向けられたものであった。
この年の男子はまだ子供っぽいところがあるため、女子にとっては男子は餓鬼だった。
しかしAは他の男子と違って騒ぐ事もせず、静かに席に座っていた。そこが、女子の目にかっこよく映ったのだ。
もちろん、Aの容姿も抜群だ。綺麗な藍色の襟足の長い髪と、きりりとした瞳。男子の14歳にしては背が高く、足はすらりと長い。服も黒を基調としたシンプルなものに、額当ては身体に着けるのが邪魔だったのか、ウエストポーチにストラップのように付けられていた。
一部の女子がAに騒いでいるのと同時刻、ナルトとサスケに事件が起きているのだが、Aにとってはどうでもいいことだった。
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海歌 - 今度、主人公の妹も入れた小説作ってもいいですか? (2017年2月6日 15時) (レス) id: 9e7081a8f5 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのポケもん好き - びっくりするくらい面白い (2016年12月23日 21時) (レス) id: d81526141d (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - 続き待ってました!!これからも頑張ってください!! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
キヌカ - この小説大好きです!【眠れる獅子】が気になります。頑張って下さい! (2016年6月21日 9時) (レス) id: 0257f3d498 (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - めっちゃくちゃ面白いです!!続き期待してます!! (2016年6月18日 20時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白蛇 | 作成日時:2016年3月12日 20時