第２８話 ページ30
『俺は、忠告したからな』
その言葉と同時に、カブトは風が通り抜けるのを感じた。
そして、胸に衝撃が走る。
ーー何が起きたのか、わからなかった。
カブトは大きく目を開く。いつの間にか視界には、天井だけが映っていた。
「……え？」
ただ、胸が異常に熱い。思わずそこを手で触れてみると、ぐちゃり、と濡れた音がした。
ーー手が、真っ赤に染まっている。
「…ッグアﾞアﾞァァアﾞアッ！！！」
それが血だとわかった瞬間、焼け付くような痛みが、カブトを襲った。
『…だから、ギブアップしろと言っただろう』
悶え苦しむカブトを見下ろして、Aは言った。
彼の胸を目にも留まらぬ速さで〈つじぎり〉した鋭く、そして長く伸びた爪は、Aが軽く腕を振ると、元の形に戻った。
「……」
誰も、言葉を発する事が出来なかった。審判のハヤテでさえ、口をぽかんと開けている。
『…お前の目には、まだ決着がついていないように見えるのか、審判』
Aは藍色の瞳をス…、と細めてそう言った。
そこでようやくハヤテは自分の仕事を思い出し、手をAの方に向けた。
「し、勝者A、予選通過です！」
『……』
しん…、と静まり返った中、Aは背を向けてその場を後にした。
・
「……ああ、すばらしい…！」
感極まって、そう呟いたのは大蛇丸。
(カブトすら圧倒する、絶対的な力。まだあんな子供が、既にそれを手に入れているなんて…)
彼は、身体の震えが、止まらなかった。
・
「おいおい、とんだバケモノじゃないか…！」
「…まさか、ここまでだとは自分も思わなかったよ」
ガイとカカシは、冷や汗を流す。
「なぁ！一体何が起きたんだってばよ！」
「知るかよそんなもんッ！」
下忍たちが騒いでいるが、やはり彼らには何が起こったのかは理解できなかったらしい。
いや、ここにいる者のほとんどが、理解出来てないに違いない。
『……』
「よっ、A。予選通過おめでとう」
『当たり前だろう』
するとA戻ってきた。そんな彼にカカシは笑みを浮かべて言ったが返ってきたのは素っ気ないもので、その笑みはすぐに苦笑いへと変わった。
「なあAと言ったか！その若さであの強さは賞賛に値するが、一体誰に稽古をつけてもらったんだ？」
興味を持ったのか、ガイが尋ねた。Aはちらりと彼を見る。
『…家族だ』
「……」
その時のAの表情が、カカシには泣きそうに見えた。
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海歌 - 今度、主人公の妹も入れた小説作ってもいいですか？ (2017年2月6日 15時) (
レス) id: 9e7081a8f5 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのポケもん好き - びっくりするくらい面白い (2016年12月23日 21時) (レス) id: d81526141d (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - 続き待ってました!!これからも頑張ってください!! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
キヌカ - この小説大好きです！【眠れる獅子】が気になります。頑張って下さい！ (2016年6月21日 9時) (レス) id: 0257f3d498 (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - めっちゃくちゃ面白いです!!続き期待してます!! (2016年6月18日 20時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白蛇 | 作成日時：2016年3月12日 20時
