第27話 ページ29
二次試験を通過した人数があまりにも多かったため、第三の試験の予選が開かれる事となった。
騒然とする受験者だったが、予選は彼らの心境に関係なく、すぐに始まった。
・
何試合か行われ、残りあとわずかになったところ、
『…次は、俺か』
「ふむ…」
ついにAの番が来た。
彼の相手は、カブト。
本来なら、彼はここで棄権するつもりだった。
…だが、そうしない理由がある。
(まだ、君の情報を集めてないからね。…Aくん)
ニヤリ、と笑う。
もちろん勝つつもりはない。あくまで情報収集が目的。
「お手柔らかにお願いするよ」
(大蛇丸様がここ最近気になっている忍…。一体どんな子なんだろうなぁ)
『……』
そう考えながらAに笑いかけるカブトだったが、Aはちらりと見るだけで、すぐに一階へと降りていった。
「…とりあえず、態度が悪いって事だけはわかったよ」
カブトはそう呟いて、階段を降りた。
・
審判、ハヤテの前で向かい合うAとカブト。
「えー…、それでは、始めて下さい」
そして彼がそう言うと、カブトが印を結んだ。
「さて、やろうか」
ニコリと人懐っこい笑みで笑いかける。今度はAは目をそらさなかった。
彼はカブトを見つめると、口を開ける。
『痛いのは、嫌いか』
「…え?」
ぽかんとするカブト。
「そりゃあ痛いのが好きな人なんていないさ」
『…そうか』
唖然としていたが答えると、Aは一言そう言った。
『なら、ギブアップする事を勧める』
騒然とする観客席。まだ始まって数秒しか経っていない。追い詰めているならまだしも、Aは何も術を使っていないのだ。
「何だあいつ。訳わかんねえ」
「実力すら見せてないのに、ギブアップするかよ…」
Aの言葉を馬鹿にする受験者。それどころか中忍や上忍でさえも首を傾げた。
「あの子、お前のところだろう?一体何を考えてるんだ?」
「いやぁ…、あいつの事は、俺でもサッパリだよ」
ガイの問いに、はぁ…、と溜息を吐いてカカシは答えた。
本当に、何がしたいのやら。
『…どうするんだ』
「いや流石にこの状況でギブアップは…」
再び尋ねられ、少し困惑するカブト。確かに何もされていないのにギブアップするのもおかしな事だ。それに、まだ情報を集めていない。
だからこそ、ギブアップを断ったのだが、
『…わかった』
Aは顔色を変えずにそう言った。
そして、
『俺は、忠告したからな』
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海歌 - 今度、主人公の妹も入れた小説作ってもいいですか? (2017年2月6日 15時) (レス) id: 9e7081a8f5 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのポケもん好き - びっくりするくらい面白い (2016年12月23日 21時) (レス) id: d81526141d (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - 続き待ってました!!これからも頑張ってください!! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
キヌカ - この小説大好きです!【眠れる獅子】が気になります。頑張って下さい! (2016年6月21日 9時) (レス) id: 0257f3d498 (このIDを非表示/違反報告)
ナイロン - めっちゃくちゃ面白いです!!続き期待してます!! (2016年6月18日 20時) (レス) id: 6f2be02f91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白蛇 | 作成日時:2016年3月12日 20時