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それから三日後、中也さんは芥川くんを連れて私の元にやって来た。
「おはようございます……」
かっすかすな私の声に中也さんは呆れ混じりに席に着く。
「まーた徹夜か?」
「ええ、少しだけ……でも大丈夫です」
フラフラじゃねえか、と指摘されて苦笑いする。のめり込むとついつい寝ることを忘れてしまうんだ。
「あ、ここ座って?仕事終わりでしょ?」
「いえ……僕はまだ次の任務が」
何故こんなところに?、と訴えかける目で中也さんを見ている。
無理矢理連れてきたんだろうなぁ。
「手前が食事を嫌うから、食えそうなもんを作ってくれたんだよ。うちの専属パティシエがな」
「……僕にそのような世話は不要」
「不要じゃねえからわざわざ連れてきてんだろうが」
「中也さん紅茶でいい?」
「ああ、頼む」
「芥川くんは?」
私たちのペースに飲まれ気味な芥川くんが渋々口を開く。
「では茶を……」
「はい。ちょっと待っててね」
ティーポットを用意してカップにそれぞれ飲み物を注ぐ。
芥川くん、どんな人なんだろうと思っていたけど予想以上に食事をとっていないように見えた。
これは中也さんも心配する理由がわかる。
私に任された任務。しっかり役目を果たさなくちゃ、マフィアのパティシエ失格だ。
「三日間で研究して作ったから、あんまり納得できる出来ではないんだけどね」
冷蔵庫の奥から、今朝作ったものを取り出しお皿に乗せる。
「無花果好きだって聞いてたから、まずはデザートをと思いまして」
じゃーん!、と大袈裟に目の前に出してみると、中也さんから歓声が上がった。
「すげえ……キラキラしてるな!」
「無花果タルト!西洋のお菓子は好きですか?」
中也さんは頷き、芥川くんからは曖昧な返事が返ってきた。
「召し上がれ」
「いただきます」
二人の声がハモって、フォークでひと口食べる。
「美味いな」
「……美味」
重なった声にくすりと笑い、二人の目の前の席に座る。
「またのご来店、お待ちしています」
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さくら餅(プロフ) - 紅玉さん» 最後まで読んでいただき、ありがとうございました!無事完結させることができて心底ほっとしております。私は貴方様のコメントにギュンギュンしました!笑本当にありがとうございました!! (2021年2月7日 15時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
紅玉 - 完結おめでとうございます!!!!尊いのと可愛いので私はギュンギュンしまくってました!!!!(ギュンギュンとはキュンキュンの進化系です!!!!) (2021年2月7日 12時) (レス) id: 835185f078 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 人虎に会いたい…。 by芥川 (2020年12月1日 15時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
(=^・^=) - 厳しいわ。 (2020年12月1日 14時) (レス) id: b3d6820988 (このIDを非表示/違反報告)
さくら餅(プロフ) - ☆天香☆さん» ありがとうございます!!すっごく嬉しいです!文ストはキャラクターひとりひとりが個性的で大好きなので、つい絡ませちゃいます笑コメントありがとうございました!! (2020年3月12日 21時) (レス) id: 0223a8e0a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら餅 | 作成日時:2019年10月4日 16時